行政・獣医事

食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備等に関する法律による薬事法の一部改正等の施行に伴う関係規程の整備等について


 平成15年8月8日付け15日獣発第128号で地方獣医師会長あて次のとおり通知した.
15日獣発第128号
平成15年8月8日
地方獣医師会会長 各位
社団法人 日本獣医師会
会 長 五十嵐幸男
(公印及び契印は印刷に代替)
 
食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備等に関する法律による
薬事法の一部改正等の施行に伴う関係規程の整備等について

 今般,食品の安全性確保のための農林水産省関係法律の整備等に関する法律(平成15年法律第73号)により,薬事法(昭和35年法律第145号)の一部が改正されたことに伴い,動物用医薬品等取締規則の一部を改正する省令(平成15年農林水産省令第69号)により,動物用医薬品等取締規則(昭和36年農林省令第3号)の一部が改正されるとともに,薬事法に基づく医薬品の使用の禁止に関する規定の適用を受けない場合を定める省令(平成15年農林水産省令第70号)が制定されました.
 このことを受け,これらの関係規程の改正等の趣旨に即した動物薬事行政の適切な運営確保等に関する事項が,農林水産省消費・安全局長から都道府県知事あてにそれぞれ,[1]食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備等による薬事法の一部改正等の施行について(平成15年7月29日付け15消安第809号:別添1),[2]「動物用医薬品等の輸入監視について」の一部改正について(平成15年7月28日付け15消安第811号:別添2),[3]「薬事法関係事務に係る技術的助言について」の一部改正について(平成15年7月29日付け15消安第812号:別添3)のとおり通知され,あわせて本会から地方獣医師会をはじめ,構成獣医師等関係者に対する通知内容の周知について依頼がありました.
 つきましては,本通知の内容を了知のうえは,特に下記事項につき十分ご留意のうえ,貴会会員に対する周知とともに,貴会の区域を管轄する都道府県動物薬事当局との連絡調整を行う等,通知内容の円滑な実施につきよろしくご配慮いただきたくお願い申しあげます.
 
1. 無許可の動物用医薬品の製造及び輸入の禁止ならびに未承認医薬品の使用禁止の適用除外について(別添1の記の2及び3関係)
(1) 無許可の動物用医薬品の製造及び輸入禁止の適用除外として,例外的に,[1]対象動物(牛,馬,豚,鶏,うずら,みつばち及び食用に供するために養殖されている水産動物をいう.以下同じ.)以外の動物の所有者が当該動物に使用するために製造又は輸入をする場合及び[2]獣医師又は飼育動物の診療施設を開設している法人が動物の疾病の診断,治療又は予防の目的で製造又は輸入する場合等を定める規定が設けられたこと.
(2) 未承認医薬品の対象動物への使用の禁止の適用除外として,例外的に,[1]獣医師が診療のために使用する場合及び[2]対象動物の所有者等が当該対象動物を診療した獣医師から交付された医薬品を当該獣医師の指示に従い使用する場合等を定める規定が設けられたこと.
2. 無許可の動物用医薬品等の輸入手続等について(別添1の記の2及び別添2の(別紙1)の3の(2)関係)
(1) 薬事法に基づく許可を受けていない動物用医薬品等を例外的に獣医師が輸入する場合の要件に関し,携帯品として輸入する場合については別添2の(別紙)の3の(2)のアの(イ)のとおり(規定内容は従前と同様),携帯品以外の形態で輸入する場合については同(2)のイの(ウ)のとおり,また,輸入に当たり必要となる書類の範囲については同4の(3)のとおりそれぞれ整備されたこと.
(2) 薬事法に基づく許可を受けていない動物用医薬品等を例外的に個人(対象動物の所有者及び対象動物以外の動物の所有者を含む.)が輸入する場合の要件に関し,携帯品として輸入する場合については別添2の3の(2)のアの(ウ)及び(エ)のとおり,携帯品以外の形態で輸入する場合については同(2)のイの(エ)及び(オ)のとおり,また,輸入に当たり必要となる書類の範囲については別添2の4の(4)及び(5)のとおりそれぞれ整備されたこと.
3. 医薬品の取り扱い及び未承認医薬品の使用の禁止について(別添3の(別紙2)の第4の2の(2)及び同(別紙2)の第6関係)
(1) 動物用医薬品,なかでも要指示医薬品に係る獣医師の指示文書発行の適正化等については,本会産業動物委員会における検討結果を受け,[1]本会が従前から文書様式を調整のうえ頒布している「動物用医薬品指示書」の様式に提出用の様式を追加し,薬事監視事務の一層の適正化を期すること,[2]薬事法関係事務に係る技術的助言について(平成12年3月31日付け12畜A第728号)において規定されている要指示医薬品に係る規定を整備願いたいこと等を内容とする要請を農林水産省に対して行ってきたところであるが,今回当該要請の趣旨も受け,獣医師が要指示医薬品に係る指示をなす場合の留意事項に関する規定が別添3の(別紙)の第4の2の(2)のとおり整備されたこと.
(2) 未承認医薬品の使用の禁止については,今回新たに,別添3の(別紙)の第6として,獣医師が未承認医薬品を使用した場合における所要事項の診療簿への記載,その他獣医師が未承認医薬品を交付した場合における指導確認の徹底等の留意事項が定められたこと.
【注】 上記(1)に関し,獣医師が指示をなした場合に発行する「動物用医薬品指示書」については,従前から本会が一定の様式を作成し頒布してきているが,今回,別添3の通知が発出されたことに伴い,「動物用医薬品指示書」の様式については,「[1]新たに記載内容等の整備を行うとともに,[2]別添3の(別紙)の第4の2の(2)のオの規定に基づき,「あらかじめ都道府県ごとに調整された提出先」に提出する新様式の追加が必要となります.
 本件の取り扱いについては,農林水産省と協議した結果,新様式の供給が整うまでの間は,従来様式を使用することでやむを得ない旨の了解を得ております.
 ついては,この旨関係会員等に了知されるとともに,「動物用医薬品指示書」の写しの提出については,あらかじめ各都道府県獣医師会単位(政令市獣医師会を含む.)で事前に当該獣医師会の区域を管轄する都道府県の動物薬事当局と提出先,提出方法,提出時期等について調整を図ることとされておりますので,地方獣医師会におかれては,関係する都道府県動物薬事当局と協議を行い,早期に受け入れ等の調整を図るようお願いいたします.
 なお,本会からの「動物用医薬品指示書」の新様式の頒布の開始については,追って地方獣医師会宛に改めて通知することとしております.
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【別添1】

15消安第809号
平成15年7日29日
社団法人 日本獣医師会会長 殿
農林水産省消費・安全局長
 
食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備等に関する法律による
薬事法の一部改正等の施行について
 
 食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備等に関する法律(平成15年法律第73号)により,薬事法(昭和35年法律第145号)の一部が改正され,平成15年7月30日から施行されることとされました.これに伴い,動物用医薬品等取締規則等の一部を改正する省令(平成15年農林水産省令第69号)により動物用医薬品等取締規則(昭和36年農林省令第3号)の一部が改正されるとともに,薬事法に基づく医薬品の使用の禁止に関する規定の適用を受けない場合を定める省令(平成15年農林水産省令第70号)が制定され,平成15年7月30日から施行されることとされたところです.
 これらの改正の趣旨等に即した適切な運用が確保されるよう,別添のとおり都道府県知事あてに通知したので,お知らせします.
 つきましては,御了知の上,関係者への御周知をお願いします.
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(別 添)

15消安第809号
平成15年7月29日
各都道府県知事 殿
農林水産省消費・安全局長
 
食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備等に関する法律による
薬事法の一部改正等の施行について
 
 今般,近年の畜水産物の生産段階において食品の安全性を脅かす様々な問題の発生等を契機として,無許可の動物用医薬品の製造及び輸入の禁止,未承認の医薬品の家畜等への使用禁止等をその内容とする食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備等に関する法律(平成15年法律第73号)により薬事法(昭和35年法律第145号.以下「法」という.)の一部が改正され,平成15年7月30日から施行されることとされた.
 また,これに伴い,動物用医薬品等取締規則等の一部を改正する省令(平成15年農林水産省令第69号)により動物用医薬品等取締規則(昭和36年農林省令第3号.以下「取締規則」という.)の一部が改正されるとともに,薬事法に基づく医薬品の使用の禁止に関する規定の適用を受けない場合を定める省令(平成15年農林水産省令第70号.以下「適用除外省令」という.)が制定され,平成15年7月30日から施行することとされた.
 ついては,今般の改正の趣旨及び下記事項に留意の上,その適切な運用に御配慮いただくとともに,関係者に対して,改正の趣旨及び内容を周知されるようお願いする.
 
 
1. 法の対象動物の拡大等(法第83条第1項及び取締規則第8条の2の2)
 牛,馬,豚,鶏,うずら,みつばち及び食用に供するために養殖されている水産動物すべてについて,未承認医薬品の使用の禁止,動物用医薬品の使用者が遵守すべき基準等の規定を適用することとしたものである.
2. 無許可の動物用医薬品の製造及び輸入の禁止(法第83条の2及び取締規則第75条関係)
 家畜等の所有者の自主的な判断により製造・輸入された医薬品の使用によって,人の健康に悪影響を及ぼす畜水産物が生産される事態を未然に防ぐため,医薬品の製造業又は輸入販売業の許可を受けた者でなければ,動物用医薬品の製造又は輸入をしてはならないこととしたものである.
 ただし,[1]試験研究の目的で使用するために製造又は輸入する場合,[2]対象動物以外の動物の所有者が当該動物に使用するために製造又は輸入をする場合,[3]獣医師又は飼育動物の診療施設を開設している法人が動物の疾病の診断,治療又は予防の目的で製造又は輸入をする場合,[4]国又は都道府県が家畜伝染病の診断又は予防に使用されることが目的とされている未承認の生物学的製剤の製造又は輸入をする場合においては,例外的に製造又は輸入の禁止措置の適用除外としたものである.
3. 未承認医薬品の使用の禁止(法第83条の3及び適用除外省令第1号〜第4号関係)
 2と同様の観点から,安全性が確認されていない未承認医薬品の使用を防ぐため,何人も,直接の容器又は直接の被包に製造業者の名称その他の事項が記載されていない医薬品を対象動物に使用してはならないこととしたものである.
 ただし,[1]試験研究の目的で使用する場合,[2]獣医師が診療のために使用する場合,[3]対象動物の所有者等が当該対象動物を診療した獣医師から交付された医薬品を当該獣医師の指示に従い使用する場合,[4]家畜防疫員又は家畜防疫官が家畜伝染病予防法の規定に基づいて国又は都道府県が製造又は輸入をした生物学的製剤を使用する場合については,医薬品について専門知識を有している者による管理が可能な場合として,例外的に使用の禁止措置の適用除外としたものである.
4. 動物用医薬品の使用規制の対象の拡大(法第83条の5第1項関係)
 対象動物へ使用される医薬品については食品の安全性を確保する観点から,その適正な使用を確保するため,使用者が遵守すべき使用基準を定めることができることとされているが,その対象として,現行の「専ら動物のために使用されることが目的とされている医薬品」のほか,人体用の医薬品等で対象動物のために使用される蓋然性の高いものを加えることとしたものである.
5. 厚生労働大臣との連携の強化(法第83条第2項,第83条の4第3項及び第83条の5第2項関係)
 農林水産大臣は,動物用医薬品の製造又は輸入の承認に際しては,その医薬品の残留性の程度からみて,畜水産物を介して人の健康を損なうおそれがある医薬品かどうかについて,厚生労働大臣の意見を聴かなければならないものとしたものである.
 また,動物用医薬品等の使用者が遵守すべき基準の設定又は改廃に際しては,現行では厚生労働大臣が農林水産大臣に意見を述べることができることとしているが,これを農林水産大臣は厚生労働大臣に意見を聴かなければならないこととしたものである.
6. 罰則の強化(法第84条及び第86条関係)
 新たに創設された動物用医薬品の製造及び輸入の禁止並びに医薬品の使用の禁止等について,罰則を設けるとともに,その他の罰則規定について,併せて見直しをしたものである.

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【別添2】

15消安第811号
平成15年7月28日
社団法人 日本獣医師会会長 殿
農林水産省消費・安全局長
 
「動物用医薬品等の輸入監視について」の一部改正について
 
 専ら動物のために使用されることが目的とされている医薬品,医薬部外品又は医療用具(以下「動物用医薬品等」という.)の輸入監視については,「動物用医薬品等の輸入監視について」(平成13年3月26日付け12生畜第962号農林水産省局長通知.以下「局長通知」という.)により,実施しているところです.
 今般,食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備等に関する法律(平成15年法律第73号)により,薬事法(昭和35年法律第145号)の一部が改正され,これに伴い,動物用医薬品等取締規則等の一部を改正する省令(平成15年農林水産省令第69号)により動物用医薬品等取締規則(昭和36年農林省令第3号)の一部が改正されたことから,局長通知を別紙1新旧対照表のとおり改正することとしましたので,了知されるとともに,貴会会員への周知をお願いします.