ア. |
日本獣医師会の公益事業及び会務の運営を経理する一般会計の今後の収支について,会費収入の水準を現状に固定して見通した場合,これまでと同様に基金会計からの資金の繰入れを要することとなるが,基金会計で管理する特定預金は,基本的には,公益法人として所有する引き当て資産や負債相当額に充てる他は,物価水準や金利等の社会経済情勢,会員の異動等避けがたい,若しくは,予期せざる法人の運営環境の変化に対応し,公益事業を継続的に対応するための内部留保として機能するよう管理すべきものである. |
イ. |
したがって,基金会計については,日本獣医師会の経営環境等の諸情勢の大きな変化に対応した会務運営に対する備えとしての機能が発揮できるよう,管理する資金の他の会計への繰り入れは,必要最小限度に止め,効率かつ適正な運用に努めるとともに,基金として最低限保有しておくべき金額について,あらかじめ限度額を設定することが必要である. |
ウ. |
基金会計が管理する資金のうち最低限確保しておくべき金額(以下「限度額」という.)は,基金会計が基本的には,緊急又は予期せざる不測の事態に備えるための内部留保としての性格を有するものであること.また,基金が設置された経緯等を勘案して設定する必要があるが,限度額は,[1]今後見込まれる財政支出規模を勘案した公益法人としての基本的運営経費,建物減価償却引当預金所要額及び事業会計の賃貸借契約に係る預かり保証金相当額をあわせた額と,[2]基金会計の原資とされる額.その双方をクリアする水準,すなわち11億円(建物減価償却引当預金所要額を含む.)を目安とすべきである. |
エ. |
日本獣医師会の財政運営において,現状において会費収入により不足する分の財源については,前記IIの4の(1)のウに示したとおり,当面は,基金会計をはじめ他の会計からの繰り入れに求めることはやむを得ないが,基金会計に限度額を定めることとする以上,基金会計に限度額が到達する前の段階において会費値上げが不可欠となる.会費値上げについては,先送りすることなく基金会計からの繰り入れに限度が来る前の段階において厳正に対処する必要がある.
なお,日本獣医師会は,これまでも組織及び事務執行の整備,合理化等を進めてきたところであるが,今後とも経費の節減をはじめ,事務・事業執行の効率化・合理化に留意するとともに,全国各職域の獣医師により構成される公益法人の全国団体として,会員及び構成獣医師,さらに社会の期待に応えるため,前記
I の2の別記に掲げた事項に十分配慮し各種公益事業を積極的に展開することが求められる.
また,地方獣医師会は,今後,前記 I の2の(3)のウに示した日本獣医師会の組織の在り方や前記 IIの4の(1)のウに示した会費算定の在り方等が検討される中で,必要に応じ財政面での対応を検討する必要がある. |