|
|||.「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律の一部を改正する法律案」について | ||||||
飼料の適正な品質管理の推進及び安全性の確保を図るため,特定飼料等の製造業者の品質管理方法等に係る登録制度を実施するとともに,有害な物質を含む飼料の製造等を禁止することとし,あわせて飼料の検定機関への行政の関与の適正化を図るため,飼料の検定機関の指定制度を見直す等の措置を講ずることとしている. | ||||||
(1)適正な品質管理等を行う製造業者に対する登録制度の導入 特定飼料等の製造業者について,適正な品質管理等が一定の要件を満たす場合には,農林水産大臣の登録を受けて販売することができることとする. |
||||||
(2)飼料等の安全性の確保の強化 飼料及び飼料添加物の安全性の確保の強化のため,
|
||||||
(3)検定機関の指定制度の見直し等 飼料の検定機関への行政の関与の適正化を図るため,
|
||||||
(4)厚生労働大臣との連携の強化 飼料の基準及び規格の設定等を行う場合には,厚生労働大臣に意見を聴かなければならないこととする. |
||||||
IV.「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法案」について | ||||||
牛海綿状脳症については,長い潜伏期間を有すること等,他の家畜伝染病と異なる特徴を有しており,そのまん延を防止するための措置を的確に実施するためには,牛1頭ごとにその飼養履歴等に係る情報を一元的に管理し,過去の同居牛等を迅速に特定することが必要であり,また牛肉に対する信頼を回復し,安心できる食生活を確保するためには,消費者に対し牛の個体情報を積極的に提供できる体制を構築することが必要である.このため牛個体識別台帳の作成及び耳標の装着による牛の個体識別のための情報の管理,牛個体識別台帳に記録されている牛から得られた牛肉の販売業者等による牛の個体識別番号の表示等の措置を講じることとする. 現在,牛については,昨年の牛海綿状脳症特別措置法の制定により国内のほぼ全ての牛(約450万頭)に番号を印字した耳標が着けられ,産地からと畜場まで追跡できるようになっている.当該法律案では,この個体識別番号を小売店まで伝え,表示することなどを義務付ける内容となっている.
|
||||||
V.「食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法の一部を改正する法律案」について | ||||||
「食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法」は,平成10年に5年間の臨時措置として,食品の安全性の向上と品質管理に国際的推奨されている管理手法である危害分析重要管理点方式(HACCP手法)の導入を促進し,食品の製造過程の管理の高度化を図るために制定され,HACCP手法の導入に必要な施設の整備を行う事業者への金融・税制上の支援を行ってきたが,最近における食中毒事故や食品への異物混入,さらにはBSEの発生等を背景とした食品の安全性確保や品質管理の徹底に対する社会的要請を踏まえ,適用期限を5年間延長するとともに,事業者が作成する製造過程の管理の高度化に関する計画の記載事項に運用体制の整備に関する事項を追加する等所要の見直しを行うこととする. | ||||||
VI.ま と め | ||||||
これら法律案については,平成15年5月19日,衆議院で可決され,参議院での審議が開始されたところであり,今後,これらの審議と並行しながら関係政令,省令の改正等法制度上の整備を行っていくこととしている. 食品の安全性の確保を実効性のあるものとしていくためには,法律に定められた指針や基準の策定や危機管理体制を構築するための具体的な業務マニュアル等の作成のほか,これらのリスク管理を的確に行っていく人材の育成・確保が不可欠であり,職員研修等の一層の充実が必要となっている. 農林水産省では,昨年4月,消費者保護を第一とした「食」の安全と安心の確保に向けた農林水産政策として「「食」と「農」の再生プラン」を公表し,順次このプランの具体化,各種施策の一層の推進を図っていくこととしている.トレーサビリティについては,今般の法律の制定により,牛肉の流通,消費段階についても表示を義務付けることとしているが,再生プランに基づいて,米や野菜など牛肉以外のものについても,食品の種類ごとにその食品特性や流通実態にあった情報の記録・保管・伝達の方法の開発やITを活用したモデル的な取り組みを支援するとともに,さらに任意の制度として,農畜水産物の生産方法など食品の生産過程に関する情報を正確に伝えることを第3者に認証してもらうJAS規格制度を創設していくこととしている.また,「食の安全運動国民会議」を発足させ,リスクコミニュケーション,食育の推進等に取り組んでいるところであり,これらの取り組みを通じて,食品安全行政に対する国民の「安心」や「信頼」の回復に努めていくこととしている. 食品の安全性の確保を図るためには,食品供給行程(農場から食卓まで)の各段階において,それぞれの危害要因について微生物学,衛生学,毒性学,獣医疫学等の獣医学的知識をもとにしたリスク分析手法を適用していくこととされているところである. 現在,獣医師は家畜等の飼育動物の診療のほか,農林水産分野,食品衛生分野,公衆衛生分野等多様な分野で活躍しているが,食品の安全性の確保に関しても,それぞれの分野での獣医師の果たすべき役割は,一層重要となっているところであり,今後の皆様方のご活躍を期待している. なお,法律案の詳細な内容については,農林水産省のホームページ(http://www.maff.go.jp)に掲載し,随時,更新されているので,確認願いたい. |
|