3.食品安全委員会
(1) 設 置
 内閣府に,食品安全委員会(以下「委員会」という.)を置くものとすること.
(2) 所掌事務
[1] 委員会は,次に掲げる事務をつかさどるものとすること.
ア. 基本的事項の案の作成について内閣総理大臣に意見を述べること.
イ. ウにより,又は自ら食品健康影響評価を行うこと.
ウ. イにより行った食品健康影響評価の結果に基づき,食品の安全性の確保のため講ずべき施策について内閣総理大臣を通じて関係各大臣に勧告すること.
エ. イにより行った食品健康影響評価の結果に基づき講じられる施策の実施状況を監視し,必要があると認めるときは,内閣総理大臣を通じて関係各大臣に勧告すること.
オ. 食品の安全性の確保のため講ずべき施策に関する重要事項を調査審議し,必要があると認めるときは,関係行政機関の長に意見を述べること.
カ. イからオまでに掲げる事務を行うために必要な科学的調査及び研究を行うこと.
キ. イからカまでに掲げる事務に係る関係者相互間の情報及び意見の交換を企画し,及び実施すること.
ク. 関係行政機関が行う食品の安全性の確保に関する関係者相互間の情報及び意見の交換に関する事務の調整を行うこと.
[2] 委員会は,[1]のイの食品健康影響評価の結果を関係各大臣に対して通知しなければならないものとするとともに,その通知に係る事項又は[1]のウ若しくはオの勧告の内容を公表しなければならないものとすること.
[3] 関係各大臣は,[1]のウ又はエの勧告に基づき講じた施策について委員会に報告しなければならないものとすること.
(3) 委員会の意見の聴取
 食品衛生法第7条第1項の規定により基準又は規格を定めようとするとき等,関係各大臣が委員会の意見を聴かなければならない場合を定めるほか,関係各大臣は,必要があると認めるときは,委員会の意見を聴くことができるものとすること.
(4) 資料の提出等の要求等
[1] (2)の所掌事務を遂行するため,資料の提出等の要求及び調査の委託について定めること.
[2] 委員会は,食品の安全性の確保に関し重大な被害が生じ,又は生じるおそれがある緊急の事態に対処するため,国の関係行政機関の試験研究機関に対し,必要な調査,分析又は検査を実施すべきことを要請することができるものとすること.
(5) 組 織
 委員会は委員4人をもって組織し,委員のうち3人は非常勤とするものとすること.
(6) 委員の任命
 委員は,食品の安全性の確保に関して優れた識見を有する者のうちから,両議院の同意を得て,内閣総理大臣が任命するものとすること.
(7) 委員の任期等
 委員の任期は3年とすることとするほか,委員の罷免,委員の服務,委員の給与,委員長,会議,専門委員,事務局及び政令への委任について定めること.
 
 4.附     則
(1) 施行期日
 この法律は,公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること.ただし,3の(6)の両議院の同意を得ることに関する部分は,公布の日から施行するものとすること.
(2) 関係法律の改正等
 この法律の施行後最初に任命される委員会の委員の任命に関して定めることとするほか,関係法律について所要の改正を行うこと.

IV.食品安全委員会(仮称)の業務の概要
 食品安全委員会(仮称)の業務の概要は,以下のとおり.
(1) 最新の科学的知見に基づく客観的かつ中立公正なリスク評価の実施とそれに基づくリスク管理機関(厚生労働省,農林水産省等)への勧告,リスク管理状況についてのモニタリングの実施
(2) 食品事故等における緊急時対応
(3) 内外の食品安全に関する情報の一元的収集・整理及び食品安全に関する幅広いリスクコミュニケーションの実施

V.食品安全関連法改正案の概要について
 食品安全基本法案は,政府として,食品の安全性の確保に関する施策を総合的に推進するため,基本理念や施策の策定に係る基本的な方針,食品安全委員会の設置等について定めるものであるが,この基本法案に定める理念・方針に則して各種の具体的な施策を講じるために,厚生労働省から2法案以下(1)〜(2),農林水産省から5法案(3)〜(5)が食品安全関連法案として第156回国会に提出されている.
(1) 食品衛生法等の一部を改正する法律案(改正する主な法律:食品衛生法,と畜場法,食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律)
(本誌348頁「厚生労働省関係法律の整備について」参照)
(2) 健康増進法の一部を改正する法律案
 国民の健康増進に影響を与えるものとして販売に供する食品等の広告等の表示の適正化を図ることを目的として,健康の保持増進の効果等について虚偽又は誇大な表示を禁止するとともに,特別用途食品について,表示許可に必要な試験業務の実施を,独立行政法人国立健康・栄養研究所以外の一定の要件を満たす他の主体にも認める.
(3) 農林水産省設置法の一部を改正する法律案
(4) 食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備に関する法律案(改正する主な法律:肥料取締法,薬事法,農薬取締法,家畜伝染病予防法)
(5) 飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律の一部を改正する法律案
(6) 牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法案
(7) 食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置
((3)〜(4):本誌353頁「農林水産省関係法律の整備について」参照)

VI.お わ り に
 以上,食品安全基本法,食品安全委員会の設置及び食品安全関連法改正の概要について述べてきたが,現在推進されている食品の安全の確保に向けた取り組みについて,読者の理解の一助になれば幸いと思っている.
 なお,本稿の内容中,まだ国会審議中のものもあるため,基本法以外の食品安全関連法改正については「案」を付けさせていただいている.