症例: |
豚(雑種),雌,6カ月(推定). |
臨床事項: |
本例は抗酸菌症多発農家より健康畜として搬入され,外見上は特に異常を認めなかった. |
肉眼所見: |
脾臓は著しく腫大,硬化し,表面から隆起する類円形,白色結節が密発していた.結節は大豆大〜うずら卵大で実質内にも存在し,割面では中心部が白色で凹凸があった.肝臓では全葉にわたり表面からやや隆起する類円形の乳白色結節が多発していた.結節は米粒大〜うずら卵大で実質内にも存在し,割面は滑らかであった.肺では全葉にわたり米粒大の白色結節を認めた.腎臓では,漿膜面にわずかに膨隆するうずら卵大の白色結節を1つ認めた.気管気管支リンパ節は軽度に腫脹していた.腸間膜リンパ節には著変を認めなかった. |
組織所見: |
脾臓,肝臓,肺,腎臓の結節には壊死や類上皮細胞,好酸球,リンパ球の浸潤を認めた.一部ではこれらの炎症細胞は壊死巣を囲むように散在していた.また脾臓,肝臓,気管気管支リンパ節においてラングハンス型巨細胞を含む多核巨細胞が認められた.腎臓の結節では,線維芽細胞,膠原線維の増生が顕著であった.また各臓器およびリンパ節のチール・ネルゼン染色,PAS染色では細菌あるいは真菌は観察されなかった. |
細菌検査所見: |
各臓器,リンパ節を好気ならびに嫌気培養したが,菌は検出されなかった. |
診断名: |
全身性肉芽腫性炎. |
討議: |
原因菌として抗酸菌が疑われたが検出されなかったことに対して,染色方法についてのアドバイスをいただいた. |