会 議

第58回  通  常  総  会

日本獣医師会第58回通常総会が6月27日(水),東京都港区の明治記念館で開催された.当日は,獣医師問題議員連盟,農林水産省,厚生労働省からのご来賓に臨席を賜り,盛会のうちに議事進行された.

日 時: 平成13年6月27日(水)13:00〜

場 所: 明治記念館 2階「蓬莱の間」

出席者: 〔日本獣医師会〕
会  長: 五十嵐幸男
副会長: 金川弘司,辻 弘一
専務理事: 松山 茂
地区理事: 森田 彰,大島寛一,中川秀樹, 手塚泰文,田代昇一,中川平八郎,瀧口次郎,景浦忠徳
職域理事: 竹内 啓,山元敏進,清野光一, 藤沢忠世,山崎省二
監  事: 鈴木兵一,廣岡小波,原 京平

〔会  員〕
 全国55都道府県市獣医師会

〔来  賓〕
農林水産省: 永村武美生産局畜産部長,宮島成郎生産局畜産部衛生課長,新川俊一生産局畜産部衛生課課長補佐,瀬戸秀佳生産局畜産部衛生課獣医療係長,柴田 寛経営局保険管理官,関谷順一経営局保険管理官室課長補佐
厚生労働省: 尾嵜新平医薬局食品保健部長,高谷 幸医薬局監視安全課長,道野英司医薬局監視安全課課長補佐,桑崎俊昭健康局結核感染症課情報管理室長,中嶋健介健康局結核感染症課課長補佐,小坪清子健康局結核感染症課獣医衛生係長
環境省: 西尾哲茂自然環境局長,塩田幸雄自然環境局総務課長,神田修二自然環境局総務課動物愛護管理室長
国会議員: 北村直人衆議院議員(獣医師問題議員連盟幹事),城島正光衆議院議員

〔関係団体〕
社団法人中央畜産会: 香川荘一専務理事
社団法人日本獣医学会: 土井邦雄理事長
日本中央競馬会: 岩月邦明馬事部長
社団法人全国家畜畜産物衛生指導協会: 今井正夫副会長
財団法人全国競馬・畜産振興会: 織田信美管理部長
社団法人畜産技術協会: 林 茂昭専務理事
社団法人日本動物薬事協会: 貝塚一郎理事長
社団法人全国動物薬品器材協会: 今村隆二理事長
社団法人日本動物保護管理協会: 鈴木一則会長

事務局: 朝日光久事務局長ほか

議 事:
第1号議案: 平成12年度事務事業及び決算報告の件
第2号議案: 平成13年度事業計画(案)及び収支予算(案)の件
第3号議案: 平成13年度会費及び賛助会費の件
第4号議案: 日本獣医師会定款施行細則の一部改正の件
第5号議案: 日本獣医師会資産管理規定の一部改正の件
第6号議案: 獣医師道委員会委員改選の件
第7号議案: 役員選任管理委員改選の件
第8号議案: 役員改選の件

概 要:
【開  会】
 朝日事務局長から出席会員数が定足数を満たしており,本総会が成立する旨の報告が行われ,以下のとおり総会が進行された.

【日本獣医師会 五十嵐会長挨拶】
 大変お忙しい中を全国各地からお集まりいただきましたことを厚くお礼申し上げます.また,本日きわめてご多忙の中を,農林水産省,厚生労働省,環境省をはじめ,多くの御来賓の出席をいただくとともに,国会も多忙なところを北村先生,城島先生にもご出席いただきまして,錦上さらに花を添えていただいたということを厚くお礼申し上げます.
 さて,皆様ご承知のとおり,21世紀になって早いもので半年たちました.21世紀はわれわれの時代であるというようなことでいろいろな施策を進めておりますが,政府においても新しい総理になられてから「聖域なき変革の時代」と称して,いついかなる時われわれの組織に対してもさまざまな問題が起こってくるであろうかという緊張感に,いま満たされているというのが実情です.
 まず,私たちは生涯研修事業を試行しておりますが,これも社会に信頼される獣医師を目指すということで日々是勉強,研修,そして倫理の高揚というものを目標に行っているわけですが,皆さんのご理解をいただいて着々と事業も進展しております.ポイント制については,まだ手続き上において不徹底な点もございましたので,その申請期限を当初の予定である4月から8月末日までに延長しました.生涯研修事業に参画した方々は奮ってポイントの申告を行っていただきたいと思っております.また,獣医系大学の再編整備についても以前から,社会に期待される立派な獣医師を社会に輩出するためにやはり国際レベルの,あるいはそれ以上の充実した教育でなければならないという声が盛り上がっているわけです.このようなことを受けて,昨日も関係大学を擁する各地区の地方獣医師会会長にお集まりいただきまして,全国大学獣医学関係代表者協議会の唐木会長のご説明をいただくとともに各地区の実情をご報告いただきました.これもひとえに,われわれは社会に信頼される獣医師像というものがいかにあるべきかということが長年の課題でございますので,皆様のご協力,ご理解をいただきたいと考えております.
 獣医師道の高揚につきましては,社会に不評のないような適切なる獣医療が行われるように,現在,獣医師道委員会においても検討しているところです.またさらに,最近は,診療行為に限らず公衆衛生,そして野生動物に至るまでの保健衛生,また過般発生いたしました口蹄疫をはじめとする悪性伝染病に対する防疫,また自然災害について各獣医師会の対応等の危機管理に対しまして,積極的に対応していただいたことは,世の中からも高い評価を受けているということです.今後はやはり,いついかなるとき,何が起こっても即対応できる体制をわれわれは常時心掛けていくことが大事だろうと感じております.
 さらには青少年の情操教育に関し,最近いろいろな問題が発生している中で,動物を通しての愛情,生き物が死んでいく時の悲しみ,生まれてくる楽しみなどの情操教育を含んだ学校飼育動物に対しましても各地方獣医師会がそれぞれ対応していただいていることは,本当に敬意を表する次第でございます.今後さらなるご活躍を期待するところでございます.
 そのほか,公益法人の見直し作業が言われておりますが,このことに対しましても私たちは常々,社団法人であるという認識に立って世の中に奉仕するという大きな使命もございますので,皆様のさらなるご努力,公益事業の拡張というものについて積極的に取り組んでいただきたいと考えております.
 いろいろ申し上げることはございますが,本日は総会でございますので,皆様のさまざまなご意見もあろうと思います.また,多くのご来賓の方々にもおいでいただいておりますので,私の挨拶を終わります.

【来賓ご挨拶】
〔獣医師問題議員連盟幹事 北村直人衆議院議員〕
 大変高い席でございますけれどもお許しをいただきながら,第58回日本獣医師会通常総会が,全国獣医師会会長をはじめ代表の方々がご参加いただきまして,盛会裡に開催されますことを,同じ仲間の一人として心から敬意とお祝いを申し上げる次第でございます.本来ですと,自由民主党の中にございます獣医師問題議員連盟会長の三塚博会長が親しく皆様方にご挨拶をするところでございますが,所用がございましてどうしても出席ができないということでございます.代わりまして,幹事を務めており,また皆さん方の大変なご指導をいただいておりますので,北村のほうからお祝いと,またお礼とお願いのご挨拶をさせていただきたいと思います.
 昨年の6月23日が57回目の通常総会でございました.一昨年はちょうど衆議院の総選挙の真っ盛り,最終戦の段階に入っておりました.私を含めご推薦をいただいた方々誰一人,総会でお礼のご挨拶ができなかったことを改めてお詫び申し上げるとともに,全国の獣医師会でそれぞれご推薦をいただき,そして大きなご指導をいただき当選をさせていただきました国会議員を代表して,まず日本獣医師会の皆様方に心から感謝とお礼を申し上げる次第でございます.私と,今日ご出席をいただいております城島先生を含めて,全国の多くのご推薦をいただいた方々はいま一生懸命に,小泉内閣が標榜しております「聖域なき構造改革」に向けて前進をしているところでございます.改めて,皆様方に今後のご指導を心からお願い申し上げる次第でございます.
 そしてまた,皆様方にお詫びを申し上げなければならないことがございます.長いこと日本獣医師会のご推薦をいただき,そしてご指導をいただいてまいりました私たちの仲間でありました者が不祥事を起こし,その後司直の手で逮捕されてしまうという大変な,皆様方に何とお詫びを申し上げてもお詫びのしようのないような事態に陥りました.本当にいままでのご指導,ご協力に心から感謝をすると同時に,二度とふたたびこのような不祥事を起こさないようわれわれも襟を正しながら,そして切磋琢磨をしてまいりたいと思いますので,何卒ご了解をいただきながら,そして改めて皆様方の一致結束した大きなご指導を,この7月の参議院選挙の福島啓史郎候補にお与えいただきますよう重ねてお願い申し上げる次第です.
 私も5期16年目の政治活動に入らせていただきました.これもひとえに皆様方のご指導をいただいたお陰でございます.そして,いま国会対策の副委員長という役目を仰せつかっておりまして,今回の通常国会では99本の法律を国会に提出しております.今日まで,まだ80本に手が届いておりません.あと残すところ,今日を入れて3日になりました通常国会でございますが,何とか6月29日の最終日までに92本成立をさせたいと思っているところでございます.本来ですと99本を成立させるということで,どうしてもできなければ95本と思っておりましたが,皆様ご承知のとおり田中外務大臣をめぐって,いろいろな問題がありまして,今日も外務委員会が開かれておりますが,そのあおりを受けて三つの条約がどうしても今回継続審議になりそうでございます.最後までわれわれは気を引き締めながら,95本成立させるために全力をあげていきたいと思っているところでございます.
 この99本の中には,一昨年に食料・農業・農村基本法を制定していただきまして,今回は林業の基本法,水産の基本法とこれらを成立させることになっております.そうすることによって,日本のきわめて基本的な産業であります一次産業の農業,林業,水産のこの基本法がきちっと出来上がるわけであります.それを土台にしながら公衆衛生,あるいは基本学問,そしてこれからのわれわれの人生のパートナーである小動物等の振興策について,国会の中で法律,あるいは議員立法等々を含めてこれからも皆さん方のご指導をいただきながら,その成立に向けて努力してまいりたいと思っているところです.9月の臨時国会には,介助犬を含めた障害者の方々の目となり耳となる,あるいは手足となるそういったパートナーのための議員立法も,何としても成立させなければならないと思っているところでございます.
 先ほど五十嵐会長からお話のあったとおり,国立大学の統合という問題が,世界の獣医学から遅れてはならないという思いの中で,われわれもどこかの時点でその判断,あるいは指導に乗り出さなければならないという思いもあるわけでございます.あるいは,新たな公衆衛生の問題等々含めて農林水産省,あるいは厚生労働省,あるいは環境省と,万般それぞれの行政の方々と連携を密にしながら,日本の国民のためになる獣医学であり,そしてまた日本獣医師会であってほしいと思うところでございます.今日の総会を通じて,感謝状や表彰される皆様方におかれましては心からお祝いを申し上げ,このことを契機にまたなおいっそう日本獣医師会に対しまして,またわれわれに対しましてご指導,ご支援を心からお願い申し上げます.そして全国会員の皆様はじめ今日ご出席の皆様,そして日本獣医師会の五十嵐会長はじめ役員の皆様,OBの皆様方に,今後のますますのご活躍とご指導を心からお願い申し上げまして,粗辞でございますけれどもお祝いのご挨拶,そしてまたお礼とお願いのご挨拶とさせていただきます.本日はまことにおめでとうございます.

〔農林水産省生産局畜産部 永村武美部長〕
 本日ここに,社団法人日本獣医師会第58回通常総会が開催されるにあたり,一言ご挨拶申し上げます.皆様方におかれましては,日ごろから獣医療の提供を通じ,わが国畜産の健全な発展,飼育動物に関する保健衛生の向上,および公衆衛生の向上にご尽力いただき,深く敬意を表する次第であります.
 ご承知のとおりわが国の畜産は,食生活の高度化,多様化等による需要の増大を背景として順調な発展を遂げ,わが国農業の基幹的部門に成長してまいりました.さらに畜産は,農家による生産のみならず,加工,流通,飼料,衛生等の幅広い関連分野と密着したかたちで営まれており,これらが一体となって地域の雇用や経済を支えております.今後とも,安全で良質な畜産物の安定供給という基本的な役割はもとより,地域社会の活力維持,国土や自然環境の保全等,その果たす多面的な役割は一層重要なものとなっていくと考えております.
 最近の家畜衛生の状況をみますと,海外におきましては,EU諸国を中心とする狂牛病問題,口蹄疫の発生等緊急な対応が求められる事態が頻発しております.また,国内におきましては昨年の3月に口蹄疫が92年ぶりに発生しましたが,関係各位の懸命な対応により,昨年9月の国際獣疫事務局の「口蹄疫その他の疾病委員会」で,わが国の口蹄疫清浄国への復帰が承認されたところであります.農林水産省といたしましては,防疫体制の強化をはじめとする家畜衛生対策の着実な推進を図るとともに,より効果的かつ効率的な家畜防疫体制を構築する観点から,昨年末より生産局内に検討会を設け,関係省庁,各都道府県,関係団体への説明,意見聴取等を行いつつ,「家畜防疫の総合的な推進を図るための指針(案)」を取りまとめたところであり,パブリックコメントによって広く国民からの意見を聴取しているところであります. 
 このような新しい家畜防疫体制への円滑な移行,また将来にわたっての効果的な運用を実現するために,中小動物等の防疫に関する研修会の開催や,獣医師の生涯教育全般についての検討を行う事業に取り組んでいただいており,その成果を大いに期待しているところであります.また,小動物獣医療関係につきましても,小動物保健衛生情報の収集・提供等を通じ,適切な獣医療の提供の促進に努めてまいる所存であります.本日ここにお集まりいただいている方々をはじめとした獣医師の皆様におかれましては,獣医師に対する社会的要請への的確な対応や,動物の飼育者との信頼関係を基本として,今後ともより質の高い獣医療の提供に指導的な役割を担っていただき,より一層ご活躍されますことを期待してやみません.
 最後になりましたが,日本獣医師会,各地方獣医師会および会員の皆様のますますのご発展とご出席の皆様のご健勝とご活躍を祈念いたしまして,私の挨拶といたします.どうも今日はおめでとうございました.

〔厚生労働省医薬局食品保健部 尾嵜新平部長〕
 本日ここに,第58回社団法人日本獣医師会通常総会が盛大に開催されることを心からお慶び申し上げます.皆様方におかれましては,日頃から,食鳥検査の実施等を通じた食肉衛生対策の推進をはじめとして,食中毒対策,狂犬病予防行政,動物由来感染症対策,残留医薬品対策等公衆衛生行政の推進に種々の立場から多大なご協力を賜り厚く御礼を申し上げます.
 本年1月の省庁再編におきまして,ご承知のとおり厚生労働省として新たに行政組織の整備を図ったところでございますが,獣医公衆衛生分野の関係組織につきましても新たに強化,充実したところでございます.具体的には,従来の生活衛生局で担当していた食品衛生行政については,新たに医薬局に食品保健部を設置し,企画課のほか,食品等の基準策定を行う基準課,食中毒対策等の健康危機管理,監視指導,と畜・食鳥検査制度等を担当する監視安全課を設置いたしました.また,狂犬病予防を含む動物由来感染症対策については,健康局結核感染症課が新たに担当することとなり,感染症対策として一元的に対応し,獣医師の方々と医師との連携の一層の強化を図ることとしておりますので,ご協力をよろしくお願い申し上げます.
 さて,最近,千葉県をはじめとした腸管出血性大腸菌O-157による集団食中毒が国内で続発しており,海外においては伝染性海綿状脳症,いわゆる狂牛病対策のほか,口蹄疫,家禽ペストの発生などが問題となっており,これらの分野における獣医師の方々の活躍がクローズアップされている状況にあります.さらに獣医学分野が他の分野と連携を図ることにより,内分泌攪乱化学物質やダイオキシンなどの環境汚染物質,バイオテクノロジー応用食品等の問題など,公衆衛生分野において貢献していくことが期待されております.厚生労働省といたしましては,伝染性海綿状脳症対策として,欧州からの牛肉等の輸入禁止,国内サーベイランス体制の充実を図っているほか,食肉に起因する腸管出血性大腸菌O-157などの食中毒防止を図るため,と畜場および食肉処理場における食肉・食鳥肉の衛生向上に取り組んでいるところであり,皆様におかれましては,食肉等の衛生向上に生産,流通等それぞれの立場から引き続きご協力賜りますようお願い申し上げます.
 また,狂犬病対策につきましても,飼育犬の登録,予防接種の実施等につき,長年にわたりご協力をいただいた成果として,周辺国を含む多くの国々で狂犬病が発生している中で,40年以上発生防止が図られていることは,皆様方のご協力の賜物と感謝申し上げる次第であります.現在,健康局において,当会のご要望による「狂犬病発生時の危機管理マニュアル」や「動物由来感染症ホームページ」を作成中と聞いており,さらなる動物由来感染症対策の充実強化策とさせていただいているところでございます.今後とも,食品の安全確保対策,動物由来感染症対策など種々の施策の充実に努めてまいる所存でありますので,これら施策の推進にあたり,日本獣医師会のご理解とご協力を引き続きよろしくお願い申し上げる次第でございます.
 最後になりましたが,今後の日本獣医師会の益々のご発展と,本日お集まりの皆様方のご健勝を祈念いたしまして,私の挨拶とさせていただきます.本日はおめでとうございます.

〔環境省自然環境局 西尾哲茂局長〕
 本日は日本獣医師会第58回通常総会が大変盛大に開催されますことに,まずお慶び申し上げます.また,このご挨拶をさせていただく機会を今回頂戴いたしましたことに深く感謝申し上げ,御礼申し上げる次第です.
 従来,環境省におきましても野生生物の保護の行政に関連いたしまして,いろいろな場面で獣医師の先生方の大変なお世話になってきたわけでございます.さらに,本年は1月6日の中央省庁の再編に伴いまして,総理府の所管でございました動物の愛護,管理の行政が環境省に移管されたということでございまして,飼養動物の面も含めまして幅広い範囲で皆様方のお世話になるということになりました.格別のご支援を賜りたく,またご協力を賜りたくお願いする次第でございます.
 さて,私どもはいま申し上げましたように1月6日の再編によりまして,環境省として新しいスタートを切りまして,日々努力をしているところでございますが,最近大変うれしいことがございました.これは小泉総理大臣の環境重視の姿勢でございました.小泉総理大臣は5月7日の所信表明演説で,21世紀に生きる子孫へ恵み豊かな環境を確実に引き継ぎ,自然との共生が可能となる社会を実現したいということを申されました.以後も国会質疑においても非常に強調していただいているところでございます.私どもはそれを確実な政策にしていかなければいけないと思っているところでございます.
 このように,最近,環境の時代,あるいは環境の世紀というようなことを言っていただきますけれども,この事柄は別の見方をしますと時代のパラダイムと言いますか,時代精神が大きくシフトしています.それは,やはりいままでの機械的,工学的なものから生物,生き物を見つめる,あるいは生命,命を見つめるというように大きくシフトしているのではないか,そういうことが背景にあるのではないかと思う次第です.私ども環境省は生物,生態系の保存ということを仕事にしておりまして,厳粛な気持ちがいたしますとともに,生き物の分野におきます専門の先生方のご協力,あるいは専門の先生方との連携をこれからますます深くしていかなければいけないんだというように心に刻んでいるところでございます.
 現実の私どもの行政におきましても,現在,獣医師の先生方には希少な野生生物の保護増殖の事業,あるいは傷病鳥獣の保護の事業がございます.それから,たとえば油の流出事故時における水鳥の保護にも大変ご努力をいただいておりまして,水鳥の保護センターもオープンしております.それから,諸先生方に大変お世話になりました動物愛護の行政,これは抜本改正が昨年の暮れに施行されました.これを着実に実施していかなければなりませんが,その場面におきましても地域における推進,あるいは協議会という中におきまして地域で実施していくコアには,やはり獣医師の先生方がどうしてもなければならないと考えているわけでございます.
 数えあげればきりはございませんが,いずれにいたしましても人と生き物の共生という時代の要請,大きな目標に向けまして私ども懸命に努力していきたいと思いますし,先生方からは何分にも多大なるご叱正,あるいはご支援を賜りたいと思う次第でございます.日本獣医師会のますますのご発展と会員の皆様方のご活躍を祈念いたしまして,挨拶とさせていただきます.どうかこれからよろしくお願い申し上げます.
 
〔社団法人中央畜産会 香川荘一専務理事〕
 本日は私どもの会長の山中貞則に代わりまして,お慶びの言葉を申し上げたいと思う次第でございます.まずは,日本獣医師会の第58回通常総会,まことにおめでとうございます.心からお祝い申し上げたいと思います.私どもは畜産団体でございまして100近くの団体がございますが,その代表ということでございますので若干畜産の問題をお話し申し上げますと,21世紀を迎えまして私どもも新たな気持ちでこれからの農業,畜産の課題に取り組んでいきたいと思っております.いままでわが国の畜産は,どちらかといえば経済効率を重視した生産ということを進めてまいったわけですが,その面ではいくつかの課題を抱えております.特にこれから重要な問題は,やはり地球規模での環境保全を図る立場というものが必要で,そのためには持続性,継続性のある畜産を目指さなければなりませんし,また将来の食糧事情を考えますと,わが国の食糧需給率が非常に下がっており,現在40%ぐらいまで下がっておりますが,これらにつきましても大きな課題でございますので,こういうことを私ども関係者一致した取り組みを進めたいと思っているわけです.
 さらに重要な問題は,先ほどからもいろいろお話がございましたが,衛生問題やあるいは畜産物の安全性の問題でございます.昨年は口蹄疫が突然発生いたしまして,私ども畜産関係者は大変不安に陥ったわけでございます.しかし,幸いにいたしまして行政当局の大変素早い対応と,獣医師の皆様方や関係者のご努力によりまして大事に至らず収束いたしました.本当に,改めてここで御礼申し上げる次第でございます.さらに最近では,お話がございましたBSEや家畜ペスト等の共通感染症の問題がございまして,いま国民の皆さんが大変,畜産物の安全性に関心が高まっております.私どものインターネット等でもそういうものが入っております.そういうものからいたしますと,これから今後ますます海外との交流が激しくなってまいりますけれども,いっそうこの疾病に対する防疫対策が重要でございまして,獣医師の皆様方の今後の防疫活動に対して私ども多くの期待を持っている次第でございます.
 また,畜産と申しますと従来どうしても食糧生産ということにウエイトがかかっておりましたけれども,近年は教育的な観点,あるいはアニマルセラピーというような問題を通じまして,人間との関わりのある動物全体へと範囲が広がっております.われわれも家畜だけでなく,こういうコンパニオンアニマル等を含めた幅広い対応が求められるのではないかと思っております.
 先般も私どもの総会で山中会長から,畜産関係者もマイナー家畜や有害鳥獣という,あるいはそういうサルとかシカ,イノシシといった人間と関わりのある動物全体にあたる,幅広い対応を考えるべきではないかというお話がございました.私どももそれらを念頭におきまして,これから動物を通じた国民生活がより豊かになるための貢献をいたしたいと考える次第です.そのためには,すでに,産業動物あるいは愛玩動物と幅広く活躍されている貴会との協力関係は今後とも欠かせないと思っております.動物の文化的役割がいっそう向上するためにも,日本獣医師会のますますのご発展と会員各位のご活躍を祈念いたしまして,お祝いの言葉とさせていただきます.どうも本日はおめでとうございます.

〔社団法人日本獣医学会 土井邦雄理事長〕
 本日は,日本獣医師会第58回通常総会にお招きいただきまして,五十嵐会長はじめ関係各位に深く御礼申し上げます.日本獣医師会におかれましては,広範かつ綿密な調査結果をもとに,獣医師生涯教育に関する基本構想をまとめられまして,平成13年度からは社会の要請に応じ,成果を社会に還元するための獣医師の自己研鑽と自己学習を支援する獣医師生涯研修事業を実施に移されております.本事業が,いわゆる伴侶動物医療にとどまらず畜産を支える獣医療,さらにはまた人の健康保持に寄与する公衆衛生をも対象になされていることは非常に重要なことであります.現在問題となっております,わが国における獣医学教育の改善向上の方向性を考える上でも,このことは非常に参考になるものと感心している次第でございます.
 ところで,昨今の獣医療域の動向を見ていますと,人の往来や交易はより活発化し,地球がますます狭くなっていく中で,EU諸国における口蹄疫,および狂牛病の発生をはじめ,東南アジア諸国での家禽疾病の発生等々が,わが国にとってもよそ事として見過ごしてはおかれないような状況になってきておりまして,家畜疾病に関する,特に感染症に関する危機分析や危機管理の重要性が従来にも増して高まってきていると思います.このような問題に的確に対処していくためには,獣医学という共通の土俵に立っております日本獣医師会とわれわれ日本獣医学会とがそれぞれの得意分野と特徴を堅持しつつも,できるかぎり一緒になって緊密な協力体制を持った上で対応していけたならばと希望している次第です.最後に,日本獣医師会のますますのご発展と皆様のご健勝をお祈りいたしまして,ご挨拶に代えたいと思います.どうもありがとうございました.

〔前農林水産省食品流通局長 福島啓史郎〕
 ただいまご紹介いただきました福島啓史郎でございます.昨年の6月まで農林水産省の食品流通局長を勤めておりましたが,その前は畜産局の審議官を勤めておりまして,獣医師法,あるいは獣医療法の運用などに携わってきたわけでございます.また,獣医師政治連盟からもご推薦いただいております.また,私の飼っております猫を一緒に抱いたポスターを作りまして,それを貼っていただきまして大変ありがたく感謝申し上げる次第です.
  いま畜産との関わり,あるいはコンパニオンアニマルとしての小動物との関わり,あるいは公衆衛生,国際協力との関わりなど非常に幅広いものとなってきているわけでございます.そういうときに,獣医師の皆様のために全力をあげる,また獣医療の発展のために尽力する.要するに獣医師の皆様の声を政治の場で発言し,実現することを最大の眼目といたしまして,いま全国を回っているところでございます.いま全国を一巡し,二巡し,三巡目に入っているところでございます.
 と申しますのは,今回は選挙制度が変わりまして従来の政党名に投票して,あらかじめ順番を付けた順番に従って当選するという方法が改正になりまして,投票するのは個人名または政党名,それでもって順番をあらかじめ付けるのではなくて,個人名をたくさん取った人から当選するということになったわけです.要するに,一言で言えば福島啓史郎という名前を書くことをお願いする選挙になったわけです.小泉総理,小泉旋風ということで確かに都議選等の結果が出ているわけですが,しかし小泉旋風即福島旋風にならないわけでございます.いまの自由民主党の公認候補として小泉さんという方がおられるんです.もうすでに当確というのが出ております.私も福島啓史郎という名前を小泉啓史郎に変えれば,あるいは第二の当確になるのかもわかりませんがそういうわけにはいかないわけでございまして,やはり福島啓史郎という名前を覚えていただくためにはこうやってお会いしてご挨拶する,お話しをするというのがいちばんでございます.そういうことで,体力の続くかぎり回っていこうと思っています.
 ご覧のとおり,若干立ったり座ったりしてもあまり差がない,つまりちょっと足が短いのでございますが,そういうことから「豆タンク」と農林水産省時代呼ばれておりました.最近豆タンクもハイテク化して性能が大幅にアップしております.戦闘能力もまた建設能力も大幅にアップしておりまして,これを政治の場で皆さん方の声を発言し実現するように全力を尽くしていきたいと思っております.今度の来月の29日でございます.参議院の比例区につきましては福島啓史郎という名前を覚えておいていただき,またご紹介いただくことを切に切にお願い申し上げまして,ご挨拶といたします.どうぞよろしくお願いいたします.