宮崎県における口蹄疫の発生とNOSAIの対応
鬼丸利久(NOSAI連宮崎)
1.疑似口蹄疫発生(3戸35頭)
平成12年3月25日、宮崎市において肉用牛10頭を飼養する農家で口蹄疫の疑似患畜が発生した.また、4月3日と9日には隣接の高岡町で肉用牛2戸25頭の発生が確認され、計3戸35頭(2戸は真性口蹄疫と判明)が家畜伝染病予防法に基づき殺処分された.
2.防疫体制
県は3月25日、宮崎県口蹄疫対策本部を設置し、発生農家を中心とする移動規制を発動.発生地から半径50m以内について48時間の通 行遮断、半径20km以内の地域について最終発生例の措置完了後3週間において、家畜の移動禁止、地域内のと畜場および家畜市場の閉鎖、人工授精の中止等を、半径20〜50km以内の地域についても、家畜の規制地域外への移動禁止、と畜用以外の家畜を入場させる家畜市場開催中止、共進会その他家畜を集合させる催物の開催中止等の制限を実施した.また、規制区域境等ポイントにおいて、昼夜における検問や該当車両等の消毒を実施した.
4月23日午前0時には、今回の口蹄疫は、空気伝播の可能性はきわめて低く、感染力も従来知られているものに比べて低いので、国際獣疫事務局(OIE)が防疫地域の最小範囲と定める「発生農場を中心とする半径10kmの範囲」を基準として採用しても、十分まん延防止が可能と判断されて次の措置が取られた.[1]初発農場から半径50kmの搬出制限地域の解除、[2]初発農場から半径20kmの移動制限地域を、4月3日および4月9日に患畜・疑似患畜が確認されたおのおの1農場を中心とした半径10kmの地域に縮小された.また、4月26日には同制限地域から野尻町紙屋、高城町四家が解除された.
さらに、5月2日から移動制限は全面解除され、24戸の隔離検査プログラム農家だけとなったが、同日夕刻には2戸が再検査、4戸が隔離検査プログラムと減少した. そして、5月10日22時には、県内すべての農場の清浄性が確認された.
3.清浄化対策
県内の口蹄疫清浄化対策の方法は、[1]疫学的に発生農場と関連のある農場の追跡検査、[2]県内の牛を飼養している全農家(14,308戸)について、飼養している牛の全頭における臨床症状の検査と飼養頭数規模ごとに設定された頭数での血液検査(21,781頭)を行い、抗体陽性牛は殺処分する、ものであった.この清浄度確認調査は、全国からの32名の派遣獣医師と県内の獣医師を中心に関係機関一体となって取り組まれた.NOSAI団体としては、NOSAI家畜診療所およびNOSAI連宮崎の全獣医職員も休日返上で対応し、延べ388人を動員した |