「獣医師の職場」(その95) |
【名 称】 | |
厚生省生活衛生局乳肉衛生課 | |
【所在地】 | |
〒100-8045 東京都千代田区霞ヶ関1-2-2 TEL03-3503-1711(代) FAX 03-3503-7964 (仮移転先) 〒105-0003 東京都港区西新橋1-2-9 日比谷セントラルビル4階 (TEL、FAXは同じ) |
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【組 織】 | |
課長(獣医師)以下、課長補佐3名(獣医師2名、事務官1名)、輸出食品査察官1名(獣医師)、衛生専門官2名(獣医師1名、薬剤師1名)、総務係(係長:事務官)、乳肉衛生係(係長:農学系技官)、獣医衛生係(係長:獣医師)、水産衛生係(係長:農学系技官)が設置されている.現在:獣医師7名、事務官2名、農学系技官2名、薬剤師1名である. また、外務省研修、大臣官房国際課および厚生科学課にそれぞれ1名(獣医師)が併任発令されているほか、WHOおよびマレーシア政府にそれぞれ1名(獣医師)が派遣されている. さらに、当課では、毎年、都道府県等から3名の研修生(獣医師)を受入れているところである. |
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【沿 革】 | |
昭和22年12月24日、わが国の食品衛生に関する法令を総括的、網羅的に規定した「食品衛生法」が制定(昭和23年1月1日施行)され、翌年の昭和23年7月28日、厚生省公衆衛生局に乳肉衛生課が新設された.翌24年には、行政機構の縮小閣議決定による予防局と公衆衛生局の統合に伴い、公衆衛生局に環境保健部が新設され、環境保健部乳肉衛生課に組織替えされた. その後、昭和31年4月、「行政機構縮小方針」により、いったん乳肉衛生課は廃止されたが、昭和34年10月、環境保健部乳肉衛生課として復活した. それ以来、係の増設、衛生専門官および輸出水産食品専門官の増員等、課として順調に発展を遂げ、現在の体制となった. 平成13年1月6日、中央省庁の組織再編に伴い、現在の生活衛生局乳肉衛生課、食品保健課および食品化学課の業務が厚生労働省医薬局食品保健部企画課、監視安全課および基準課に再編されることとなっている. |
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【業 務】 | |
当課では、食品衛生法、と畜場法、食鳥処理の事業の規制および食鳥検査に関する法律、化製場等に関する法律、狂犬病予防法ならびに感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律を所管しており、次の業務を行っている. |
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(1) | 動物性食品の安全確保対策 |
食品のうち、乳・乳製品、食肉、食肉製品、水産食品等の動物性食品について、微生物、化学物質等の規格基準の設定、HACCPの導入等の予防対策、危機管理対策を実施することにより、その安全確保を図っているほか、輸出食品対策にも対応している. 特に、最も優れた衛生管理手法として国際的にも認知されているHACCP(Hazard Analysis Critical Control Point:危害分析重要管理点)システムによる衛生管理の導入を図るため、平成7年に食品衛生法を改正して「総合衛生管理製造過程の承認制度」を創設し、乳・乳製品、食肉製品、魚肉練り製品の製造施設への同システムの普及を進めているところである. さらに、昨年のベルギー産食品のダイオキシン問題、本年の保健所の検査ミス、雪印乳業食中毒事件などの健康危機対策も主要な業務となっている. |
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(2) | 食肉、食鳥肉の安全確保 |
腸管出血性大腸菌Oh157や牛海綿状脳症等、食肉の安全確保が重要課題とされていることから、平成8年に「と畜場法」の改正を行い、食肉の安全確保対策を進めている. また、カンピロバクター食中毒の増加に対応するため、食鳥肉について総合的な対策が必要との観点から、鶏肉とカンピロバクターに関するリスクアセスメントを行っている. さらに、輸入食肉、食鳥肉の安全性を確保するため、わが国と同等以上の基準に基づく衛生的な処理を義務付けることとしたところである. |
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(3) | 動物由来感染症対策 |
エボラ出血性熱、狂犬病をはじめとした動物由来感染症のヒトへの感染を防止するためにはその感染源となる動物の対策が非常に重要である. このため、「感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律」および「狂犬病予防法」により、サルにおけるエボラ出血性熱およびマールブルグ病、犬、猫、アライグマ、キツネ、スカンクにおける狂犬病などヒトの感染症予防のための動物対策を進めている. また、国民自らが感染症予防を行うことが重要なことから必要な情報の収集および普及にも努めている. |
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【今後の展望】 | |
半世紀に渡り、獣医師を中心に公衆衛生行政に取り組んできた「乳肉衛生課」も、来る平成13年1月6日の中央省庁の再編に伴い廃止され、新たな行政ニーズに対応する組織として、食品安全対策は厚生労働省医薬局食品保健部の3つの課、感染症対策は健康局結核感染症課が担当することとなり、獣医師も再配置されることとなった. しかし、21世紀に向けて動物性食品の安全確保、感染症予防対策等乳肉衛生行政の重要性はますます増大しており、今後も獣医師の活躍が期待されていることから、新体制の中でこれに応えていくことが公衆衛生獣医師の使命と考えている. |