1999年の狂犬病(最新情報) 1999年に入って8月までに,オハイオ州ではアライグマの狂犬病が4例(陸生動物全体では5例)確認されているが,1998年同期の18例(陸生動物全体では22例)に比べて大幅に減少している.オハイオ州は,感染地域における能動的な調査プログラムと州全体にわたる受動的な調査によって収集したデータをもとに,V-RGを含んだ餌の散布を組織的に行っている.1999年には,オハイオ州内の他の地域や中西部諸州へのアライグマ狂犬病の拡大を防ぐために,約150万用量のV-RGワクチンが,6つの郡の合計2,500平方マイル以上にわたって散布されているb). ウェストヴァージニア,ヴァージニア,ノースカロライナの各州では,オハイオ州と接している北部からウェストヴァージニア州を通りケンタッキー州やテネシー州と接する南部へと至る各郡で,アライグマの狂犬病が報告されている.したがって,アライグマの狂犬病はほどなく,現在まだ冒されていないオハイオ州の一部や,ケンタッキー州やテネシー州へも侵入する可能性がある. テキサス州では,1998年,狂犬病の報告数がその前年に比べ13.5%増加している.だが,1996年と1997年に報告数が大幅に減少した(それぞれ40.5%,24.0%)ことが励みとなって,1999年,テキサス州南部・中央部・西部の総計48の郡に,33,000平方マイル以上の面積にわたり,270万用量のV-RGワクチンが追加散布されている.また,1999年の1月から6月までの統計によれば,犬/コヨーテ型の狂犬病ウイルスによるコヨーテの狂犬病は,経口型狂犬病ワクチン散布プログラム(ORVP)の実施地域より北側では報告がなく,ORVP地域内でも3例報告されているにすぎない.同じ期間に,ハイイロギツネ型の狂犬病ウイルスによる狂犬病は,数種の動物で合計42例確認されているが,先述のORVP実施地域以外では,ハイイロギツネの症例は報告されていない.V-RGウイルスワクチンは,プログラムが開始された1985年以来,総計171,000平方マイル以上の地域に1,130万用量が散布されているc).さらに,アライグマの狂犬病については,従来よりニューヨーク州最北部の各郡を越えて拡大することが予想されていたが,1999年7月,ついにそれが現実のものととなった.カナダ当局が,オンタリオ州でアライグマ型の狂犬病ウイルスに感染したアライグマを初めて確認したのである. なお,人の狂犬病の症例については,1999年に入って10月1日までの時点で,米国内からCDCに届いた報告はない. (米国獣医師会雑誌Journal of the American Veterinary Medical Association, Vol. 215, No. 12から)
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