獣医師のインターネット利用法(その1)
パソコン初心者がインターネットを利用するには
岩城隆昌(東京慈恵会医科大学・実験動物施設
インターネットと獣医師
先ごろ日本獣医師会がアンケート調査した結果によると,診療施設を持つ獣医師で,パソコンがあると回答した会員(全体の67%)の内,インターネットにアクセスすることが「できる」と回答した方々が,約7割を占めた(回答数:2,032件).その年齢構成は31〜35歳(16%),36〜40歳(21%),41〜45歳(21%)および46〜50歳(16%)と,調査対象とされた獣医師は,インターネット利用に関し,特別な年齢的な偏りなく活用しているようである.一方,「できない(18%)」,「今後する予定がある(13%)」と回答した方々が,合わせて約3割おられる.パソコンがなくてもインターネットの利用は可能なので,パソコンがないと回答した方はインターネット利用者でないと決め付けるのは早計と思われるが,それでもパソコンを利用したことのない方々を含めるとその割合はより上昇すると思われる.そこで,これからインターネットを始めたいと思っている方々,診療等にインターネットのデータベース活用を計画されている方々を対象に,私なりの導入法と利用法を紹介する.
インターネットでできること
インターネットは情報革命をわれわれにもたらし,世界中のあらゆる情報(文字,画像,音楽,動画,等)が簡単に無料同然(電話代と接続業者に支払う料金を除き)で手に入るようになった.TCP/IPという共通の通信手段を基に個人や企業のパソコン同士を繋いで世界中のコンピュータ間での情報交換が注目され,メール交換,買い物,株の取引や銀行の振込み,ソフトの更新や取得等,便利で有意義,面白いともてはやされている.しかしながらインターネットはもともと軍事用に開発され,複数設置された大型コンピュータとそれらを操作する端末を結び,特定の端末が攻撃を受けても他の端末から操作を継続しようとしたものである.そのような性格から,だれでも端末に成り得るパソコンをインターネットに接続すれば,公開されている他施設の大型コンピュータ内の必要な情報を簡単に入手可能となる.著者は幸い,大学に所属するため,調べたい事柄が生じた場合,付属の図書館に行き,蔵書の中から関係事項をコピーして手元に集めることが可能で,この有り難味は何事にも変えがたいものがある.しかしながら今やインターネットを利用すれば誰でも何処からでも同様の利便性が手に入る時代となった.しかもその操作は至って簡単で,音声またはキーボードを使って検索したい文字をパソコンに入力,Enterボタンを押すだけである.たとえ操作が間違っても機械を壊すことも,また余分なお金が掛かることもない.さらに情報を特定のグループで共有し,それについてディスカッションすることが可能となった.たとえば,患畜の画像を含めた情報をパソコンに取りこみ,診断や治療法について日本・世界の獣医関係者から瞬時に多方面の見識を集め・討究することも可能で,さらに第三者はそれら情報のすべてまたは必要な一部を検索して見ることができる.これは学会に参加し,見識を深めるやり方に類似しているが,インターネットは,職場にいながらこれらが可能となる. |