日本生物科学研究所(〒198-0024 青梅市新町9-2221-1)
Porcine Circovirus Infection in Pigs
Masanori TAJIMA
Nippon Institute for Biological Science, 9-2221-1 Shin-machi, Ome 198-0024, Japan
豚サーコウイルス(porcine circovirus:PCV)にはPCV-1とPCV-2の2型が知られている.PCV-1は豚腎株化細胞PK-15(ATCC CCL31)に持続感染している迷入ウイルスとして分離されたもので,豚に対して非病原性である.このため本ウイルスを非病原性PCV(nonpathogenic
PCV : npPCV)と呼ぶ著者もいる[14].これに対して,PCV-2は近頃いうところの『新興ウイルス感染症』の一つである豚の離乳後全身性消耗症候群(postweaning multisystemic
wasting syndrome:PMWS)*と密接な関係にあることが明らかにされている.このため本ウイルスはPMWS関連PCV(PMWS-associated PCV : pmwsPCV)と呼ばれることもある[14]. *PMWSに対して離乳後全身性消耗症候群の訳語をあてた理由は,本病では諸臓器のみでなく,全身の諸組織・細胞も侵襲されるから,多臓器性(multiorganic)よりも広い意味をもつ全身性(multisystemic)のほうが適切であること,またwasting diseaseに対しては消耗性疾患の訳語が一般的になっていることによる. |