(4) 学校飼育動物に係る小学校学習指導要領解説(生活編)に関する件
  本件については,文部省が今年5月に作成した「小学校学習指導要領解説―生活編」の中で,小学校における小動物の飼育に関し,「地域の獣医師と連携して動物の適切な飼い方について指導を受けたり,常に健康な動物とかかわることができるようにする必要がある.」と明記されたことを受けて,以下の文書を本会会長から地方獣医師会会長に発出したことについて,辻副会長から説明が行われた.

地方獣医師会会長 各位

社団法人 日本獣医師会
会長 五十嵐幸男
(公印および契印は,印刷に代替)

学校飼育動物に関する対応について(通知及び依頼)

  学校飼育動物に関する日本獣医師会の対応につきましては,本年2月に設置した「学校飼育動物に関する検討会」における検討の結果,別添のとおり基本的な考え方をとりまとめたところです.
  一方,文部省においては,本年5月に作成した「小学校学習指導要領解説―生活編」の第3章「生活科の内容」の中で,小学校における小動物の飼育に関し,「地域の獣医師と連携して動物の適切な飼い方について指導を受けたり,常に健康な動物とかかわることができるようにする必要がある」ことを初めて明記いたしました(同封の冊子の38頁,下から3行目参照).
  このことは,これまでの地方獣医師会における取り組みの実績によるほか,日本獣医師会の文部省に対する折衝等が功を奏したものと思われ,今後,地方獣医師会が学校飼育動物対策を推進するうえで大変有効であると期待されます.
  また,この新指導要領等の新しい教育課程の基準は,平成14年度から実施されることになっておりますが,この指導要領は,全国に配布されており,地方自治体(教育委員会)によっては既に移行措置(たとえば,教師を対象とした学校飼育動物の適正飼育に関する講習,新指導要領に基づく教科指導基準の策定等)がとられているとのことです.
  したがいまして,まだ学校飼育動物対策に取り組まれていない獣医師会におかれましても,その高い公益性にかんがみ,地元教育委員会,学校関係者等と連携をとりながら積極的に対応する必要がありますが,その具体的な対応につきましては,これまで既に学校飼育動物対策に取り組んでいる獣医師会の事例を参考にすることが有益であると考えます.
  つきましては,学校飼育動物対策に取り組まれている獣医師会におかれましては,その取り組み状況に関する具体的な資料(教育委員会・小学校・獣医師会との連携状況,委託事業等の場合はその内容及び予算,獣医師会の対応方針,実施要領等)を来る8月末日までに本会まで送付していただきたく何卒よろしくお願い申し上げます. 地方獣医師会から送付された資料につきましては,本会でとりまとめのうえ,改めて全国の地方獣医師会に送付する予定でおりますので,ご多用の折り誠に恐縮に存じますが,ご理解,ご協力をいただきたく重ねてお願い申し上げます.

 (5) サル,猫等の検疫制度に関する検討会報告書の件
  本件については,昨年の「感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律」の制定および「狂犬病予防法」の一部改正の中で,サルおよび猫等が新たに検疫の対象となったことを受けて,設置された「サル,猫等の検疫制度に関する検討会」の報告書について,金川副会長からその概要説明が行われた. 以上の報告事項に関する質疑応答においては,狂犬病予防業務は都道府県の責務であり,関係事務が市町村に移行された後も,集合予防注射をぜひとも堅持して予防注射率を維持するため,行政の支援が得られるように努力してほしいこと,野生動物をペットとして飼育しないよう一般に啓蒙する必要があること等について意見交換が行われた.