動物の保護・管理等に関する要請書
平成11年8月4日
内閣官房長官 野中広務 殿
社団法人 日本獣医師会会長 五十嵐幸男
現在,動物の保護及び管理に関する法律(以下「動管法」という.)の一部を改正する法律案が議員立法として今国会に提出される予定と伺っております.
日本獣医師会では,動物の医療,保健衛生指導等について社会的責任を有する獣医師の職域団体として,本問題について深い関心を有しており,本年1月に別添要請書を自由民主党環境部会長・鈴木恒夫殿ほか関係者に提出したところです.
また,西暦2001年1月から中央省庁等の改革を行うこととして,先般,関係法律が公布されましたが,現在,総理府が所掌しております動物保護管理関係行政事務は,環境省設置法(平成11年7月16日,法律第101号)第4条において同省の所掌事務とされたところです.
一方,総理府における動物保護管理関係行政事務に係る組織定員につきましては,現状では,非専門職の職員が1名ということになっており,係る事務が現行組織定員のまま環境省に移管された場合,改正動管法に基づく行政事務を円滑に実施するうえで支障を来すことが想定されるところです.
つきましては,この際,下記事項について要望いたしますので,特段のご高配を賜りたく何卒よろしくお願い申し上げます.
記
- 動物の保護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案を今国会で成立させていただきたいこと
- 環境省に「動物保護課」(仮称)を設置し,獣医師職員を配置するとともに,厚生省・農林水産省両省との間で積極的に獣医師職員の人事交流を図っていただきたいこと
- 環境省の野生動物を含む動物関係行政事務全般について十分なる予算措置を講じていただきたいこと
- 農林水産省・厚生省・環境省との間で連絡会議を設け,獣医事関係行政事務の有機的かつ緊密な連携強化並びに円滑化を図っていただきたいこと
(3) 地方分権に伴う狂犬病予防事業の対応に関する件
本件については,今国会で可決・成立した「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」の中で,狂犬病予防法の一部改正が行われ,犬の登録および鑑札の交付,注射済票の交付事務等が,平成12年4月1日から市町村へ委譲されることになったことを受けて,以下の文書を本会会長から地方獣医師会会長あてに発出したことについて,辻副会長から説明が行われた.
地方獣医師会会長 各位
社団法人 日本獣医師会
会長 五十嵐幸男
(公印および契印は,印刷に代替)
地方分権に伴う狂犬病予防事業に関する対応について(通知)
地方分権に伴う狂犬病予防法の一部改正等につきましては,平成11年7月23日付け11日獣発第121号により取り急ぎお知らせしたところですが,平成12年4月1日から地方分権が施行されるに当たり,地方獣医師会におかれましては,狂犬病予防事業を今後とも円滑に推進するため,下記の「基本的な考え方」に基づき対応することが望ましいので,遺漏のないようにしていただきたくお知らせします.
記
【狂犬病予防事業の推進に当たっての基本的な考え方】
- 狂犬病予防注射の方式は,その接種率を維持,向上させるため,基本的に,現行の集合注射方式とする必要があること.
- 地方獣医師会は,狂犬病予防事業の円滑な推進を図るため,市並びに町村と獣医師会との間で協議の場(狂犬病予防連絡協議会等)を設けること等について都道府県との連携を密にする必要があること.
- 上記2の市町村との協議に基づき,獣医師会と市並びに町村との間で,狂犬病予防事業の実施(集合注射方式とすること等を含む.)に関する正式な事務手続き(契約書等)をとる必要があること.
- 集合注射料金は,都道府県単位で統一することが望ましいこと.
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