【資     料】

獣医師生涯教育に関するアンケート調査結果

<平成10年12月公表の報告書から>

 本アンケート調査は,昨年,日本獣医師会の全国の小動物診療獣医師医に対して実施したものであり,その調査結果は報告書としては平成10年12月に公表され,検討会等関係者に配布した.
  「獣医師生涯教育に関する調査結果」の報告書は,今後,獣医師卒後研修(生涯教育)のあり方等を検討していくうえの貴重な資料となり,また本アンケートにご協力頂いた会員獣医師の方々にとっても興味深いと思われるので,ここにそのおもな内容を抜粋して紹介する.

 近年,獣医師をめぐる社会・経済情勢の変化は著しく,獣医師が多様化する社会の要請に的確に応えていけるよう,平成4年5月に獣医師法の一部が改正され,第16条の2において「診療を業務とする獣医師は,免許を受けた後も,(中略)臨床研修を行うよう努めるものとする」ことが明定された.
  一方,畜産経営の大型化により伝染病発生時の被害は甚大となり,また,国際化の進展によって海外からの伝染病侵入の機会が著しく増大し,国内における家畜伝染病の発生状況も大きく変化してきた.
  こうした状況に対応するため,平成9年4月に家畜伝染病予防法の一部が改正され,確実かつ効率的に家畜防疫を行うための新防疫制度が導入された.新防疫制度の下では,獣医師に対して新たな伝染病や未知の疾病に遭遇したときの的確な病態の把握と迅速な届出が義務付けられるとともに,より高度で的確な診断技術をもって対応することが求められることとなった.
  急速に進歩する獣医学知識および獣医療技術を用いて社会の要請に応え,新たな防疫制度に対応する適切な獣医療の提供を続けていくためには,獣医師が生涯にわたって自らの知識や技能を磨き,常に研鑽に努め,高度の技術水準を維持できるような体制を獣医界として構築する必要があるとされた.
  このようなことから,日本獣医師会では平成9年度から,本会に設置した「獣医師研修指針策定検討会」において獣医師の卒後研修・生涯教育について検討しており,その検討結果を踏まえて,卒後臨床研修継続教育および専門医養成教育の三本柱を骨格として,わが国の「獣医師卒後研修(生涯教育)のあり方等に関する研修指針」を策定することとしている.
  以上から,獣医師研修指針を具体的に策定するに当たり,この三本柱のそれぞれについて,わが国の小動物診療獣医師の意向を把握し,反映させる必要があることから,平成10年に「獣医師生涯教育に関するアンケート調査」を実施した.