論 説
グローバル化の時代における獣医大学と獣医行政制度の改革 国際獣疫事務局(OIE)アジア太平洋地域代表 小澤 義博 ![]() 日本の指導者のマネージメントの方法は,いまだに情緒的な根回しと全体合意主義を理想とした,きわめて時間のかかる非能率的方法であり,現代の急激な変化を必要とする時代にはあまり適していない.日本が先進国を追っていた20年前頃までは,日本の進路は皆分かっていたので,目標に追いつくための合意は得やすくスムーズに進んだが,日本が先進国の一員となった1980年代後半からは,古きを捨て新しい道を切り開くような新しいタイプの指導者と組織が必要になってきていた.しかし,そのための努力はバブル経済に浮かれ,放置されてしまった.それが今日の日本の経済,政治,行政,教育,研究等のあらゆる分野で行き詰まる原因となってきている.獣医の分野も同様で,これからの時代に対処できるような指導者を選び,思い切った対策を次々と打つべき時に来ているが,現状のままでは難しい.そこで今までタブー視されてきた大学の指導者の選び方と行政制度の問題点について私見の一端を述べてみることにする. 獣医大学教育 日本の獣医大学教育は4年制から6年制になったものの,その内容は2〜3の大学を除けば20年前と大して変わっていない.国立大学の再編成を議論し始めたのは今から20年位前ではないかと思うが,危機感の薄い大学教授会に頼っていたのでは急ピッチの大学改革など望めない.また,純血主義や自己中心的な終身制人事や,研究予算の輪番制をよしとする教授会で取り仕切られている多くの大学に文部省の唱えている「競争的環境の中で個性が輝く大学」など理想論に過ぎないのではなかろうか. |
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