ま と め

 農畜水産物流通の国際化により,消費者には生産過程がますますみえなくなるとともに品質や安全性への不安が大きくなっているが,安全性を保証するシステムとしてFAO/WHO合同食品規格計画の下でCodex基準が作成されてきている.他方,製品規格の統一の必要性から設立された民間のISOが構築した品質管理システムISO 9000シリーズが国内でも普及しつつある.品質は安全性をも含む概念であるが,食品の安全性に関してはHACCPが衛生管理に関してより詳細かつ系統的であり,ISOを採用する場合はHACCPを組み込むことが望ましいとFAO/WHOは考えている.
  衛生基準は輸出入における非関税障害となりうるが,Codex基準はそれを回避するためにあり,加盟国は遵守義務がある.ただし,Codex基準は最低基準であり,食品の摂取状況や衛生水準が異なるおのおのの国が危険性解析に基づいてより高い基準を設けることは,輸入制限を偽装するための恣意的措置でないかぎり許される.
  危険性解析は,査定,管理,情報交換の3つの独立かつ統合性のある要素からなり,品質・安全性保証システムの方法論となっている.目的は危険性を低減することにあり,そのために的確な管理方策の立案と円滑な実施が求められており,危険性の査定はその基礎となるものである.査定の際,管理方策立案者の不当な干渉を避けるための機能的独立性が重要である.情報交換は,査定と管理方策立案の適正を確保するとともに,管理の有効性を高めるために必須の機能である.