社団法人日本獣医師会創立50周年記念式典 続き
《来賓祝辞》
【農林水産大臣 代読:松下忠洋農林水産政務次官】
本日ここに,社団法人日本獣医師会創立50周年記念式典が開催されるに当たり,一言お祝いを申しあげます.
貴会は,発足以来,獣医師の技術水準の向上のみならず,広く家畜衛生,公衆衛生の発展に大きな業績を挙げてこられました.このことに対し深く敬意を表する次第であります.
また,本日,栄えある功労者として表彰を受けられます方々に,心からお慶び申しあげますとともに,ご出席の皆様方が日頃より獣医技術を駆使して,わが国畜産の健全な発展に大いに貢献をされていることに対しまして,厚くお礼を申しあげる次第であります.
ご承知のとおり,わが国畜産は,食生活の多様化等を背景として順調な発展を遂げ,農業の基幹的部門に成長してまいりました.
しかしながら,近年は,担い手の減少ならびに高齢化,ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施による国際化の進展等,畜産をめぐる情勢は大きく変化しております.このような状況の中で,国民生活に欠かせない安全で良質な畜産物の安定供給をはじめ,地域社会の活力維持,国土や自然環境の保全等,わが国の畜産の果たす役割は,今後一層重要なものになっていくものと考えております.
最近の家畜衛生の状況をみますと,海外におきましては,英国を中心とする狂牛病問題,台湾における口蹄疫の発生等緊急な対応が求められる事態が頻発しております.また,国内におきましても,大腸菌O-157やサルモネラによる食中毒の問題等が発生しており,これらに対する適切な対応が求められております.
このため,農林水産省といたしましては,獣医師の皆様との連携をより一層密にし,昨年改正された家畜伝染病予防法に基づくより効率的かつ効果的な家畜防疫体制の構築を進めるなど諸般の施策を積極的に進めていくこととしております.
また,近年,精神的な豊かさを求める傾向を背景に,犬,猫を中心とする小動物に関する保健衛生指導,高度な獣医療の提供等,獣医師の皆様方に対する期待は大きくなる一方であり,その内容も多様化しております.
このような広範な社会的要請により的確に応え,今後とも質の高い獣医療の提供が図られてまいりますよう,貴会が指導的な役割を担い,引き続きご尽力をいただきますようお願い申しあげる次第であります.
最後になりましたが,貴会の益々のご発展と本日ご出席の皆様方の益々の御活躍とご健勝を祈念いたしまして,私のお祝いの言葉といたします.
【厚生大臣 代読:小野昭雄生活衛生局長】
本日,ここに,社団法人日本獣医師会創立50周年記念式典が挙行されるに当たり,一言お祝いの言葉を申しあげます.
はじめに,この度,獣医学の各分野におかれまして永年のご功績を残され,感謝状を受けられます方々に対しまして,まずもってお喜び申しあげます.
日本獣医師会は,獣医学術の発達普及と獣医業務の公正なる発展を図ることにより,畜産の発展と公衆衛生の向上に寄与すること等を目的として,昭和23年に設立され,以来,50年にわたり,歴代会長をはじめ会員各位が一致団結し,活発な活動を展開されてこられました.
日本獣医師会の活躍は,公衆衛生の分野ひとつをとりましても,狂犬病の撲滅,安全な動物性食品の安定供給等その業績は目覚ましいものがあります.わが国の公衆衛生水準の向上にご尽力されました貴会をはじめ獣医学の各分野でご活躍をいただいた多くの方々に対しまして,改めて敬意を表する次第であります.
さて,21世紀を目前に,わが国は本格的な少子高齢化社会を迎えており,国民の健康に対する関心は,従前にも増して高くなってきております.このような状況の中で,近年のいわゆる狂牛病や腸管出血性大腸菌Oh157の問題等,動物に由来する人の感染症の問題が大きく取り上げられる中で,これらの感染症の動物対策を行っていく獣医師の役割の重要性が改めて注目されております.動物由来感染症の対策に万全を期すためには,この分野における獣医師の活躍が一層期待されると考える次第であります.
厚生省といたしましても,国民の健康を守る立場から,動物由来感染症対策,動物性食品の安全確保等の施策を鋭意遂行してまいる所存でありますが,そのためには,日本獣医師会をはじめ,常日頃,公衆衛生の第一線でご活躍されている皆様方のご指導とご協力が不可欠であり,今後とも一層のご活躍をお願い申しあげる次第であります.
終わりとなりましたが,獣医学の各分野に携わっておられる皆様方の益々のご研鑽により,公衆衛生に寄与されることを期待いたしますとともに,日本獣医師会の今後のご発展と本日お集まりの皆様方のご健勝を心より祈念いたしまして,私のお祝いの言葉といたします.
【獣医師問題議員連盟会長 三塚 博衆議院議員】
本日ここに,農林水産大臣,厚生大臣その他多くの関係者がご出席のもとに社団法人日本獣医師会創立50周年記念式典がこのように盛大に開催されますことを心からお慶び申しあげます.また,この機会に,長年にわたるご功労を認められた方々に対する表彰が行われますが,受賞される皆様には衷心よりお祝い申しあげます.
さて,一口に50年と申しますが,50年は一世紀の半分であります.この20世紀後半の半世紀は世界的に激動の半世紀であったと思います.この間,わが国は大きな変貌を遂げて参りました.獣医師各位におかれては,家畜衛生を基本とした畜産振興,あるいは公衆衛生の向上・発展,さらには動物愛護思想の普及,推進,その他実に広範多岐にわたる分野におけるご活躍によってわが国の発展に大いに寄与されて参りました.そのような中で日本獣医師会もまた,歴代会長のご尽力のもとに大きく成長されてきたわけであります.そして今や獣医師に寄せる国民の期待,社会的要請は,一層高いものになっております.
皆様ご案内のとおり,獣医界永年の願望であった6年制獣医学教育や獣医師法の一部改正,獣医療法の制定等がすでに実現しております.これらはすべて,獣医師の皆様の要望だけで実現したものではなく,獣医師に寄せる国民の高い期待,すなわちそのような社会のニーズが結果として実を結んだものと考えております.また,平成7年には,アジアで初めての世界獣医学大会を横浜で開催することができ,しかもその開会式には天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ,お言葉を賜る等,わが国獣医師の実力を国内はもとより海外にも広く認知せしめることができましたことは,私も獣医師の一人として大いに誇りとするところであり,改めてご同慶の至りと思うので
あります.
一方,獣医師を取り巻く今日の現況は,国民の評価や期待とは 裏腹に実に多くの問題を抱えております.日本獣医師会がそれらの多くの問題に真剣に取り組み,解決をめざしてご努力をなさっておられることは,私ども獣医師問題議員連盟も十分に承知いたしており,お手伝いできることは,可能な限りさせていただきたいと考えております.従来もそうでございましたが,今後も私どもは,日本獣医師会のご要望を伺いつつご期待に添うべくがんばって参る所存であることをこの機会に重ねて申しあげておきたいと思います.
日本獣医師会の今後のますますのご発展と,全国獣医師会ならびに会員獣医師の皆様のご健闘を祈念いたしまして私の祝辞とさせていただきます.
《来賓紹介,祝電披露》
北村直人衆議院議員,小山孝雄参議院議員をはじめ農林水産省,厚生省関係者等来賓多数が紹介され,祝電が披露された. |