パートII続き

パートIII: 狂犬病対策

A. 狂犬病対策の基本
1. 人の狂犬病予防
  人の狂犬病は狂犬病感染動物との接触の回避および暴露された人に関してはただちに傷口の処置を行い適切な受動および能動免疫を行うことで発症を防ぐことができる.暴露前および暴露後に狂犬病ワクチン接種を行うことが望ましいとしていることの理論的根拠および具体的な投与方法は,公衆衛生局(PHS : Public Health Service)の免疫実施諮問委員会(ACIP : Immunization Practices Advisory Committee)による最新提案書を参照されたい.これらの提案書は,地域における動物狂犬病の現況やヒト狂犬病に関する解説とともに州の保健局から入手が可能である.
2. 家畜の狂犬病
  地方行政当局は,すべての犬,猫およびフェレットに対する確実なワクチン接種を行い,放浪動物や捨てられた動物の駆除を効率的に進めるために計画的な対策を立てることとする.こうした方法によって合衆国内では検査の結果確認された狂犬病の犬の数は1947年の6,949頭から1996年の111頭にまで減少している.年間に報告される狂犬病の数は,犬より猫が多いために猫に対するワクチン接種は必須である.効果的なワクチン接種方法と現在認可されている動物用ワクチンは本概要のパートIとIIに掲げてある.
3. 野生動物の狂犬病
  野生の感受性動物における狂犬病対策は困難である.放し飼い状態の野生動物に対するワクチン接種や,集団数の減少措置は場合によっては効果的であるが,それらの方法が成功を収めるかいなかはそれぞれの狂犬病発生状況に依存している(「C. 野生動物における対策方法」を参照のこと).