本病は、兎ウイルス性出血病ウイルスの感染によって起こる家兎などの兎類の急性出血性疾患です。伝播力の強さと高い致死率が特徴です。届出伝染病に指定されています。 |
本病は、兎出血病ウイルスの感染によって起こります。本病が最初にみられたのは1984年の中国で、ドイツから輸入したアンゴラ兎に発生しました。その後、南アメリカとアフリカを除く世界全土に広がっています。わが国では、1994年に北海道で発生報告があり、1995年には静岡県の観光牧場で大量発生しました。
伝播は、主として糞など排泄物に含まれるウイルスの経口・経鼻感染によります。ウイルスは、家兎の飼育者、器物、野生動物、昆虫などによっても媒介されます。 |
本病は、特定の兎にのみ病原性を示し、それ以外の種類の兎は発病しません。また、約2ヵ月齢以上の成兎のみが発病します。感染したウイルス株の病原性や宿主の免疫状態によって病態が異なり、甚急性例では41℃を越える発熱の後、2〜3日で死亡します。致死率は90%を越し、100%に達する場合もあります。急性例では症状がより明確になり、呼吸促迫、粘膜は青紫色となり、食欲廃絶がみられ、血液が鼻汁に混じる例もあります。感染後期には、神経症状を呈し、運動失調や後弓反張を示します。亜急性型では、発症後自然治癒する兎の割合が多くなります。 |
海外では、不活化ワクチンが市販されています。発生群では、感染した兎のと殺および徹底的な消毒による感染源の遮断によって、蔓延防止を図ります。
発症した動物に対する治療法はありません。 |
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