本病は原虫の感染による鶏の腸炎で、主に平飼いのブロイラーや種鶏などに発生し、死亡率の増加、体重増加の抑制、産卵率の低下などを起こす重要な鶏病の一つです。貧血、肉冠の退色・萎縮、血便、肉様便などが主要な症状です。 |
鶏への感染は原虫の経口摂取により起こります。感染原虫は宿主の腸管粘膜の細胞内で増殖し、5日〜1週間後に再び糞便とともに外界へ排出され、新たな感染源となるため、鶏が直接糞便に接触する平飼いでの発生率が、特に高いようです。また、直立多段式のケージ飼育でも多くみられます。 |
出血、すなわち血便を伴い、致死率の高い発症例を、慣習的に急性コクシジウム病、一方、顕著な症状を伴わず、または肉様便、軟便、下痢便を主体とし、増体の悪い感染例を慢性コクシジウム病と呼びます。急性型の場合、鶏は盲腸の出血により鮮血便、または小腸の出血により粘血便を排泄し、総排泄口周囲は血液で汚れ、食欲不振または廃絶、活力低下、首をすくめ眠るようにして沈うつ状態となります。その他に貧血により肉冠、肉垂の退色、削痩などが認められることもあります。 |
|
本病の予防対策では、病原体であるオーシストを鶏舎内に持ち込まない注意が基本です。多くの衛生管理措置が実施されていますが、この他に通常、ブロイラーの前期用および後期用飼料、採卵鶏の育雛用飼料には予防剤として数種のサルファ剤またはサルファ剤系の合剤が添加されています。また、現在、ブロイラーに対しては3種類のコクシジウムオーシストを含んだ弱毒生ワクチンも市販されています。 |
|
|