本症はボツリヌス菌の産生する毒素を摂取、または消化管内で産生された毒素を吸収して起こる中毒です。突発的に発生し、ときに多数の鶏が急死します。脚・翼・頸・眼瞼の麻痺、眠ったような姿勢、脱羽、黄白色下痢などが特徴的です。 |
原因菌であるボツリヌス菌は家きんや野鳥の消化管内、ブロイラー鶏舎内の敷料、飼料、飲水にも存在しています。体内に吸収された毒素は血流を介して神経末端部に到達し、アセチルコリンの放出を阻止します。その結果、筋肉の麻痺が起こり、心臓および呼吸停止により死亡します。発生率および致死率は摂取した毒素の量に関係します。 |
摂取した毒素量が多い場合には、数時間後に発症し、致死率は高くなります。毒素量が少ない場合、症状は1〜2日後に出現しますが、致死率は低率です。特徴的な症状として、脚・翼・頸・眼瞼の麻痺が認められます。麻痺はまず、脚に出現し、次に翼・頸・眼瞼へと進行します。黄白色下痢、眠ったような姿勢、羽が抜けるなどがみられます。軽症では脚麻痺が唯一の症状です。 |
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本症の対策として、鶏舎内で発症または死亡している鶏を集め淘汰・除去することが重要です。汚染された敷料なども埋却または焼却します。再発を繰り返すブロイラー鶏舎では、オールアウト後に清掃し、本菌芽胞に有効な次亜塩素酸ソーダ、ヨードホール、さらし粉などを用いて消毒します。ハエを殺滅し、毒素に汚染されている蛆の発生を抑えます。長靴は、飼育棟ごとに専用のものに履き替え、本菌の伝播を防ぎます。 |
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