本症は鳥類の急性または慢性の感染症です。感染菌の病原性ならびに栄養、環境因子、複合感染などによる宿主の抗病性の程度によって、食欲廃絶、下痢を伴う急性敗血症から関節炎、頭部・顔面・肉垂の腫脹、異常呼吸音、すなわちラッセル音、呼吸困難などを呈する慢性感染症を含む多彩な病態がみられます。致死率は30%以内です。わが国では鶏、あひる、七面鳥およびうずらが本菌により致死率70%以上を示す症例は、家きんコレラと呼び、家畜法定伝染病に指定されています。 |
感染経路は、呼吸器粘膜ですが、他の粘膜や皮膚の創傷からの場合もあります。水きん類では池や沼が病鳥からの排菌によって汚染されているので、しばしば水辺で大発生することがあります。 |
急性型では死亡の数時間前に一般状態の悪化、すなわち沈うつ、発熱、食欲廃絶、羽毛逆立、口からの粘液漏出、下痢、呼吸促迫などがみられ、死亡直前に肉冠や肉垂は赤味を失い青黒くなります。下痢便は初め白色水様性ですが、後に緑色で粘液を混じるようになります。通常、2〜3日の経過で死亡し、きわめて急性の症例では発症後数時間で死亡します。生き残った鳥は、削痩と脱水により衰弱して死亡するか、慢性型に移行するか、あるいは回復することもあります。
慢性型では冒された部位により症状が異なります。頭部・顔面・肉垂の腫脹、脚や翼の関節、足底部、胸骨の粘液嚢などの腫脹がみられます。結膜や咽頭に滲出物がみられ、ときには斜頸もみられます。気管の異常呼吸音や呼吸困難を呈し、衰弱して死亡します。
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一般衛生管理の徹底が最も重要です。飼育密度の適正化、鶏舎環境の乾燥化、鶏舎や器具類の消毒および運動場などへの消石灰散布を実施します。また、伝染性ファブリキウス嚢病(IBD)ウイルスの感染が発症誘因となる場合もあるので、IBDワクチンの適正な投与に配慮する必要があります。 |
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