本病は、ブユの一種であるニワトリヌカカの吸血により媒介される鶏の原虫病であり、喀血死や貧血による増体抑制、産卵低下、軟卵、緑色便、顔面・肉冠の貧血などが主な症状です。発生は北海道南部以南の地域において、全国的に初夏から秋期にかけてみられ、届出伝染病に指定されています。 |
鶏への感染は、原虫保有ヌカカの吸血が原因です。ニワトリヌカカは初夏から秋期(5〜9月)にかけて水田で発生するため、付近に水田のある養鶏場の解放鶏舎において発生がみられます。 |
強い感染では全身性の出血による急死が起こり、肺に多量の出血があった場合、鶏は喀血します。感染の後期には貧血がみられ、同時に食欲の減退、緑色便の排泄、肉冠・肉垂の退色、沈うつ、削痩などが認められ、重症鶏は死亡します。 |
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ニワトリヌカカが侵入できないウィンドレス鶏舎では、通常本病は発生しません。また夏を越した開放鶏舎の鶏は、多くの場合感染・耐過し、免疫を獲得しているため発症しません。ニワトリヌカカ対策である鶏舎金網への殺虫剤の散布、蚊取り線香の使用、誘蛾灯の設置などは本病予防にある程度有効といわれています。最近、本病予防用のワクチンが遺伝子組換え技術により開発され、使用できるようになりました。
低濃度のサルファ剤系薬剤の間欠または連続投与が本病予防に有効ですが、薬剤が卵や肉に残留するため、採卵鶏には応用できません。
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