本症にはひな白痢と家きんチフスが含まれ、鶏、あひる、七面鳥およびうずらの法定伝染病です。ひな白痢では幼雛が灰白色粘稠性下痢、尻汚れを呈し、ほとんど敗血症となり死亡します。ときには3週齢以上のひなが同様に発症し、しばしば全眼球炎を起こして失明したり、関節炎で脚弱となります。家きんチフスは成鶏における類似の急性伝染病ですが、わが国での発生はありません。 |
本症は感染した親鳥が産卵したサルモネラ菌汚染受精卵から孵化した感染ひなにより、すなわち介卵感染により広範に伝播します。また、同居感染も起こります。 |
ひなでは元気・食欲が消失し、羽毛が逆立ち、健康なひなの群から離れてうずくまり、居眠り状態となります。しばしば白色粘稠性下痢、下痢便が羽毛に付着して尻汚れなどがみられます。ひなの死亡は10日齢頃をピークとして2〜3週齢頃までみられます。一方、きわめて急性の症例では下痢をしないで死亡することもあります。また、中雛では、全眼球炎による失明や関節炎などもみられます。成鶏では一般に感染しても無症状、すなわち保菌鶏となり、保菌卵を産卵して産卵低下を起こすこともあります。そのため、保菌種鶏群では孵化率が低下します。しかし、ときには家きんチフスが疑われる激しい症状を呈する場合もあります。病鶏は元気・食欲が低下し、首をすくめ、翼を下垂し、肉冠は赤味を失い青黒くなり、泥状下痢便を排泄します。産卵鶏では産卵率が急速に低下し、一部の鶏は1〜5日の経過で死亡します。 |
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予防対策の基本は種鶏群を清浄化することです。血液検査による保菌鶏の摘発には抗体の持続期間を考慮し、少なくとも鶏群の10%について40〜70日齢と種卵採取前との2回実施することが望ましいとされています。陽性鶏が認められた場合はすべての鶏を検査し、陽性鶏を淘汰します。また、種鶏群にサルモネラワクチンを接種する場合には、ひな白痢検査のため鶏群の約1%には接種しないことが義務づけられています。 |
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