豚大腸菌症
概要
 本症は、大腸菌の感染により下痢あるいは敗血症を起こす細菌病で、新生期から離乳後3週間までの時期に多発します。特に生後5日以内の敗血症を伴う症例では、非常に高い致死率を示します。それ以降の子豚の発症例の場合は、致死率は低いのですが、著しい脱水症状のため発育不良となります。
主な原因
 大腸菌は健康豚の腸管内に存在していますが、一部の大腸菌は病原性があり、敗血症や下痢の原因となります。
主な症状
 生後3〜4日齢以内の新生豚は敗血症を起こしやすく、下痢を呈して急性経過で死亡します。5日齢以後では敗血症死することが少なくなり、酸臭のある灰色から黄色の水様性下痢、泥状便を排泄し、著しい脱水症状を伴って痩せ、敗血症に陥って死亡することも少なくありません。離乳後数日以内に起こる下痢は、死亡率は低いものの、発育不良の原因となります。また他の病原体と混合感染を起こすことが多く、この場合は症状は重篤化します。
主な予防法
 哺乳豚・離乳子豚の飼養環境、例えば保温、離乳時期、人工乳への切り替えなどに注意し、分娩舎・離乳舎の消毒、オールイン・オールアウト方式の実施などが効果的です。また、初乳の十分な摂取が必要であり、母豚群の免疫状態を均一化するために母豚更新率が極端に高くならないよう計画的な導入が望まれます。