豚胸膜肺炎
概要
 本症は、肥育豚がかかりやすく、胸膜肺炎を特徴とする豚の細菌病です。肥育期における淘汰・死亡の大きな原因となっており、豚生産に莫大な被害をもたらしています。
主な原因
 豚胸膜肺炎菌の感染によって起こり、鼻汁や分泌物の吸引や豚同士の接触によって伝播します。4〜5ヵ月齢の肥育期に群単位で多発します。発生の誘因として、密飼、換気不良、気温の変動などの環境因子、群の再編成や輸送などのストレス、さらに他の病原体、例えば豚マイコプラズマ、パスツレラ菌、インフルエンザウイルス、オーエスキー病ウイルス、豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルスなどとの混合感染があげられます。
主な症状
 呼吸器系の異常が主であり、急性例では突然の元気消失、食欲の廃絶、発咳、呼吸促迫などがみられ横になって寝ます。鼻腔および口腔に血液を混じた泡沫状の分泌物がみられ、耳端、下腹部、四肢などが赤味を失い青黒くなり、急性経過で2〜3日以内に死亡します。死亡を免れても慢性化し、時折発咳する程度で顕著な呼吸器症状はみられなくなりますが、食欲は減退し、発育が遅れます。
主な予防法
 密飼いの防止、適切な換気と湿度、オールイン・オールアウト方式と豚舎消毒の徹底などが有効です。