豚丹毒(届出)
概要
 本症は、豚丹毒菌の感染によって起こる細菌病で、古くから世界中で発生しており、現在でも豚生産に大きな損害を与えている伝染病です。人獣共通感染症の一つで、届出伝染病に指定されています。
主な原因
 豚丹毒菌の経口摂取によって感染し、さまざまな症状がみられます。一方、ほとんど無症状で豚丹毒とは気付かず、と畜検査で発見されて全廃棄されることもあります。
主な症状
 豚の免疫状態や抵抗性の程度によりいろいろな症状を示します。本症には、敗血症型、蕁麻疹型、関節炎型および心内膜炎型があります。敗血症型では発熱のほか耳翼、腹部などが赤味を失い、青黒くなり、急性経過で死亡します。蕁麻疹型では発熱のほか菱形の丘疹が背部、臀部などに好発します。関節炎型では跛行がみられ四肢の関節部が腫脹します。心内膜炎型では、ほとんど症状を示すことなく、と畜検査で初めて豚丹毒と診断されることもあります。
主な予防法
 弱毒生菌ワクチンと不活化ワクチンが開発・実用化されています。生菌ワクチンは優れた免疫効果と安全性を備えています。移行抗体や抗生物質などの影響がなければ約6ヵ月間免疫が持続します。一方、不活化ワクチンは、免疫持続期間は短く、移行抗体や抗生物質の影響を受けません。