豚流行性下痢(届出)
概要
 本症は、嘔吐や黄色水様性下痢の症状を示す急性ウイルス病で、哺乳豚は脱水により急性経過で死亡し、届出伝染病に指定されています。
主な原因
 豚流行性下痢(PED)ウイルスの感染によって起こり、冬に集中して発生します。ヨーロッパ地域ではしばしば大流行していましたが、わが国では1994年、約10年ぶりに鹿児島県をはじめとする南九州や東北、北海道で相次いで大流行がありました。
主な症状
 伝染性胃腸炎(TGE)の症状に類似し、哺乳豚では激しい嘔吐と下痢がみられます。下痢便は未消化物を含む黄色水様性です。感染豚は脱水状態に陥り、7日齢以内の新生豚では数日の経過で衰弱死し、死亡率はほとんど100%に達します。育成子豚および肥育豚では感染しても比較的軽症で、下痢は3〜7日で回復します。母豚では下痢のほか、泌乳量の低下や泌乳の停止が起こることがあります。
主な予防法
 一度発生すると常在化しやすいので、未発生地域ではウイルス侵入を防ぐことが重要です。衛生管理の徹底、汚染農場からの豚の導入中止、また、導入に際しては隔離観察などが必要です。発生があった場合は、豚舎内にいくつかの完全な間仕切りや、空室豚舎を設け、水洗、消毒および乾燥を繰り返すことによりウイルスの常在化を防ぎます。周囲で流行があれば、導入豚および分娩前の母豚にワクチンを接種して予防に努めます。