ニパウイルス感染症(届出・海外)
概要
 本症は、1998年にマレーシアに出現した新興のウイルス病で、呼吸器症状や神経症状がみられます。人獣共通感染症で、届出伝染病・海外伝染病に指定されています。
主な原因
 ニパウイルスは森林地帯のオオコウモリに感染しており、その生息地に養豚場を建設したことによって、豚の集団にニパウイルスが侵入して発生するようになったと考えられています。マレーシアでは発生以降、オオコウモリの生息地での豚の飼養を禁止し、90万頭以上の感染豚を殺処分して清浄化しました。わが国での発生はありません。
主な症状
 7〜14日の潜伏期を経て呼吸数増加、開口呼吸、強制呼吸、激しい発咳などの呼吸器症状あるいは柵に頭を押しつけたり柵をかんだりする異常行動、痙攣などの神経症状がみられます。成豚では神経症状、肥育豚では呼吸器症状が強く現われる傾向がみられます。しかし、感染しても症状を示さないことが多く、死亡率は5%以下です。
主な予防法
 わが国での発生はなく、動物検疫による海外からの侵入防止が図られています。