豚水胞病(法定・海外)
概要
 本病は、蹄や口に水疱を形成するウイルス病で、同居豚には容易に伝播しますが、豚房間の伝播は比較的緩慢で、急速な伝播は起こりません。症状のみでは口蹄疫との区別が困難なので、重要な疾病に位置付けられており、法定伝染病・海外伝染病に指定されています。
主な原因
 本病は1966年にイタリアで最初の発生が確認された、ウイルスによる新興の感染症で、原因は豚水胞病ウイルスに感染した豚の導入、汚染した豚肉が混入した加熱処理不十分な厨芥の給与によるものと推定されます。わが国では1970年代に2回の発生が確認されましたが、感染豚の摘発・淘汰により間もなく清浄化されました。現在、ヨーロッパの一部の地域で継続的な発生がみられるほか、東アジア諸国では常在化しています。
主な症状
 蹄部・鼻・口唇部に水疱ができ、その症状は口蹄疫に非常によく似ています。水疱は急速に数と大きさを増し、短期間のうちに破裂して上皮が剥離し、潰瘍やびらんとなり、蹄の病変部は多くの場合細菌の二次感染を起こします。疼痛により跛行を呈し、重症例では起立困難となりますが、死亡率は比較的低く、数週間以内に治癒します。

主な予防法
 わが国は清浄国なので、輸入豚の検疫が重要です。感染豚が発見された場合は、治療することなく殺処分し、同居豚も殺処分します。