本症は、リステリア菌が口腔粘膜の傷から侵入し、三叉神経系を介して上行して脳幹部に病変(脳脊髄膜炎)をつくる人獣共通感染症の一つです。 |
北海道と本州北部に発生が多く、春先〜初夏に好発し、散発的に発生しますが、分娩やその他のストレスが発生に影響します。pHの上昇したサイレージは、リステリア菌が増殖しやすい環境となり、本菌が爆発的に増殖することがあり、感染源としてきわめて重要です。発生は本菌を大量に含んだ変敗サイレージ給与に関係するといわれています。牛の糞便中では十数ヵ月、敷わら中で数百日生存可能で、低温(4℃)、低栄養でも増殖するのが特徴です。 |
突然の発熱、角膜混濁のほか、眼瞼反射消失、沈うつ、昏睡、斜頸、旋回運動、咽頭麻痺および舌麻痺、流涎などの神経症状が発現します。初期では、音に鋭敏に反応し、不安の状態を示し、運動を好まなくなります。中期になると、平衡感覚が失調し、左右いずれかに旋回運動を始めます。次第に、斜頸、耳翼の下垂、著しい水様の流涎、咽喉頭麻痺、舌麻痺による嚥下困難があり、食欲があっても採食できないなどの神経症状を示します。また、眼球は乾燥・白濁し、末期には脱水、起立不能から昏睡状態になり死亡します。 |
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良質なサイレージの生産と保存が必要になります。早期発見と適切な抗生物質の使用により、発症牛の約半数に回復が期待できます。ただし、機能障害に陥ったものは回復させることは困難です。 |
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