本症は、ウシバエおよびスジウシバエの幼虫が牛の皮下に寄生することにより発病し、体表の腫瘤を主徴とする届出伝染病です。 |
北海道での発生を中心に、東北北部や九州でも発生がみられています。皮毛で孵化したウシバエ幼虫は皮膚に下降して皮下に侵入し、体内移行により脊髄硬膜、骨膜間に4カ月間留まります。その後、再び体内移行し、背腰部の皮下に達して皮膚を穿孔して、2期幼虫となります。ついで、宿主の結合組織内で3期幼虫となり、3カ月過ごし、これが皮膚の腫瘤として発見されます。 |
背中から腰にかけて、皮膚に幼虫を包むイボ状の腫瘤(虫襄)形成がみられ、これが特徴的所見であり、その中央には幼虫の脱出による孔ができ、膿汁が流出している場合もあります。病変部には掻痒感があり、柱などに体を擦りつけ細菌による二次感染を起こすこともあります。また、幼虫の体内移行は組織に損傷を与え、神経麻痺、嚥下障害、アレルギーの一種のアナフィラキシー症状などを起こすこともあります。 |
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少数寄生例では、腫瘤(虫襄)から幼虫を摘出します。多数寄生例においては、有機リン剤の噴霧、さらにイベルメクチン製剤の注射は、全ての幼虫に有効であることから最も簡便な方法として用いられています。死亡虫体を皮膚に残すとアレルギー反応を起こす可能性があるので、できる限り除去することが大切です。 |
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