ロドコッカス・エクイ感染症
概要
 本症は世界中およびわが国の馬産地で発生しています。原因菌である馬ロドコッカス菌の強毒株は、感染馬が飼育されている牧場の土壌中に生息しており、3ヵ月齢以下の子馬に経気道感染します。主な病態は化膿性肺炎、その他、腸炎や関節炎などであり、症状は特徴に乏しいです。
主な原因
 本症の原因菌である馬ロドコッカス菌の強毒株は感染子馬の糞便ならびにその子馬の飼育環境の土壌中から分離されます。また、本症の発生は強毒株に土壌が汚染された牧場だけに認められます。しかも子馬から子馬へ直接伝播することもないことから、感染した子馬から糞便とともに排出された後に菌が土壌中で増殖して感染源になると考えられています。本症は、ほぼ世界中の馬産地で発生が認められ、わが国でも広く馬産地で発生が認められています。
主な症状
 3ヵ月齢以下の子馬にかぎって感染し、特に30〜60日齢の子馬に多発します。最も多い病態は肺炎ですが、その他、腸炎や関節炎、あるいはこれらが併発することもあります。何れの病態においても、39〜40℃の発熱、元気消失、食欲不振などがみられます。肺炎の場合は発咳や鼻漏がみられることがあり、重症例では呼吸困難を示し、粘膜は青黒くなります。腸炎の場合にはしばしば下痢や激しい腹痛症状を示します。
主な予防法
 ワクチンは用いられていません。生後3ヵ月までの子馬は強毒株に汚染された土壌に近付けないことが予防となります。本菌に汚染されたパドックは、生石灰による消毒を試みるか、客土するか、あるいはパドックそのものを替える必要があります。過去に本症の発生のあった牧場では、朝夕の体温測定により早期発見に努めることが大切です。
 化学療法として、ゲンタマイシンは副作用がほとんどないことから、わが国では好んで使用されています。