馬アクチノバチルス症
概要
 本症は、生まれて間もない子馬にみられる細菌感染症です。本症の原因菌である馬アクチノバチルス菌は健康な馬の口腔内や気道内に常在し、主として分娩後の子馬に臍帯感染します。感染した子馬は、臍帯炎、敗血症、腹膜炎、関節炎などを起こします。本症は世界各地で認められますが、伝染性はありません。
主な原因
 本症は、馬アクチノバチルス菌の感染による、主として1ヵ月齢以下の子馬に認められる感染症です。生後間もない馬の感染症は一般に子馬病と呼ばれますが、本症はその中の典型的な細菌感染症です。
 感染は、生まれて間もない子馬や移行抗体不全症の子馬など、感染症にかかりやすい子馬にみられ、その多くは臍帯感染です。本菌は健康な馬の口腔内および気道からも分離されます。本症の発生は世界各地で認められますが、伝染性はありません。わが国でも古くから発生が確認されていますが、馬房や新生子馬の衛生管理が行き届いた今日、その発生はまれです。
主な症状
 最も典型的な症例は、虚弱で生まれた子馬が1週間以内に臍帯炎から敗血症に至り、死亡する例です。また、やや成長した子馬の場合には、関節炎や腹膜炎が認められます。
主な予防法
 本菌は日和見感染菌で、免疫不全症や虚弱の子馬が感染を起こしやすいので、分娩馬房を清潔にし、子馬に初乳を十分摂取させることが重要です。また、感染は主として臍帯から起こるので、分娩後に消毒液を用いて臍帯の消毒を行うことも予防効果があります。
 本菌は、ゲンタマイシンやセファロチンなどに感受性を示すので、感染した子馬の治療にはこれらの抗菌剤を用います。