馬ロタウイルス病
概要
 本病は、馬ロタウイルスの感染により新生子馬に激しい急性の下痢を起こす消化器病です。
主な原因
 ロタウイルスは、人を含む哺乳類や鳥類に広く分布し、いずれのウイルスも急性下痢症を引き起こします。下痢便の中には、大量のウイルスが含まれており、経口感染は容易に起こります。
 本病は、世界各地でその発生が報告されています。わが国では、北海道日高地方において、毎年5〜7月に哺乳中の子馬、特に生後1〜3ヵ月齢の子馬に本病が多発しています。下痢便あるいは下痢便に汚染した敷きわらなどを介して経口感染します。伝染性は強いのですが、死亡率はきわめて低いです。
主な症状
 本病では39〜40℃の一過性の発熱とともに、褐色あるいは灰白色の悪臭を伴った水様性下痢を呈します。食欲がなくなり、数日間まったく哺乳しなくなることもあります。合併症を伴わない場合は急速に回復し、通常予後は良好です。
主な予防法
 感染源はウイルスを含んだ感染子馬の糞便です。そのため、健康な子馬への感染を予防するためには、感染子馬の隔離と汚染された厩舎の消毒が重要です。不活化ワクチンは感染を完全に予防することはできませんが、下痢症状を軽減させることができます。
 治療は、症状に応じて行います。特に、哺乳を停止した場合には、十分な量の電解質液とブドウ糖を含んだ注射薬による補液を静脈内に注射することが必要です。胃粘膜保護剤および乳糖分解酵素製剤の投与や腸内細菌のバランスを保つための乳酸菌製剤の投与が効果的です。