仮性皮疽(届出・海外)
概要
 本症は、伝染性または流行性リンパ管炎ともいわれ、真菌の一種であるヒストプラズマ菌が、外傷のある皮膚から侵入またはサシバエなどの吸血昆虫が媒介することにより感染する馬科動物の慢性疾患です。四肢の皮膚、皮下のリンパ管およびリンパ節が肥厚または腫大することにより、連珠状ないし索状を呈し、やがて化膿性潰瘍病変が形成されます。結膜炎または肺炎を伴うこともあり、届出伝染病・海外伝染病に指定されています。
主な原因
 本症の原因は、土壌腐生真菌の一種であるヒストプラズマ菌です。本症の発生はアフリカ、中東およびアジアの一部で風土病的にみられ、馬、ラバおよびロバに感染します。1945年以後、わが国における発生はみられません。
主な症状
 本症は馬科動物の伝染性慢性疾患で、通常四肢の皮膚に大豆から榛の実ほどの大きさの球腫および連珠状ないし索状結節が形成され、化膿性潰瘍に進行します。
主な予防法
 本症に対するワクチンはありません。わが国では発生がみられないことから、発生国との交流を監視することが重要です。また、原因菌は土壌中で生息することから、皮膚の創傷部などからの感染に注意します。
 治療法として、アンホテリシンB、フルコナゾール、イトラコナゾールなどの抗真菌剤が有効といわれています。