水胞性口炎(法定・海外)
概要
 本症は、馬、牛および豚の急性ウイルス病で、口腔粘膜、乳頭、蹄、皮膚に水疱やびらんを形成する疾病です。法定伝染病・海外伝染病に指定されています。
主な原因
 本症の原因である水胞性口炎ウイルスは、馬、牛、豚などの家畜だけではなく、多くの野生動物にも感染します。また、人への感染も報告されています。
 本症は主として北米・中米および南米諸国で発生しており、メキシコや中央アメリカの一部では風土病として存在し、年間を通して発生しています。米国では初夏から晩秋にかけて発生があり、大きな流行が10〜15年周期で繰り返されています。
 感染経路はダニ、蚊、ブユ、サシバエなどの媒介体の介在による水平伝播が主体ですが、流行時の感染動物の唾液や水疱液には大量のウイルスが含まれており、接触感染を起こします。これまでわが国には、本症は侵入したことがありません。
主な症状
 感染馬の最初の症状は、40℃程度の体温の上昇と著しい流涎です。罹患馬は飼料の咀嚼や嚥下が困難となり、食欲が減退します。また、口腔粘膜と舌粘膜に病巣がみられます。通常、舌の水疱は破れる前に融合し、びらんとなります。蹄冠部にびらんを形成することもありますがまれです。蹄に炎症を起こした患馬は、負重によるはげしい痛みから跛行を呈することもあります。混合感染のない場合には2〜3週間で治癒し、傷あとは残りません。死亡例はほとんどみられません。
 人が感染すると、インフルエンザ様症状を呈します。
主な予防法
 いずれの国においても生ワクチンおよび不活化ワクチンは開発・実用化されていません。