本症は、紅斑発疹を特徴とする致死性の高いウイルス性急性伝染病で、届出伝染病・海外伝染病に指定されています。

本症の原因は山羊痘ウイルスです。本症は、中近東、北アフリカ、中央アフリカ、インド、バングラデシュおよびスカンジナビアの一部の地域に発生しています。しかし、わが国での発生はありません。常在地のインドでは、罹患率と致死率がそれぞれ63.5％と49.5％であったという報告があります。感染山羊から接触感染します。特に飛沫核を介した気道からの感染が主な伝播様式です。回復した山羊の痂皮は数ヵ月間感染性を保ちます。

発症山羊は、発熱、皮膚全体に発疹・丘疹、鼻孔部の腫脹、流涙、鼻汁、結膜炎、眼瞼炎、呼吸困難などを示し、羊痘よりは軽症ですが子山羊は高い致死率を示します。 　潜伏期間は6〜14日で、発症山羊は無毛部の鼻、目、口、乳房、鼠径部および包皮に発疹・丘疹がみられます。

治療法はありません。わが国のような清浄国では、汚染国からの家畜および畜産物の輸入を制限して侵入を防ぎます。