流行性羊流産(届出・海外)
概要
 本症は、クラミジアの感染によって起こるめん羊の異常産で、届出伝染病・海外伝染病に指定されています。妊娠めん羊にはほとんど症状が認められませんが、胎盤炎を起こすことによって、流死産あるいは虚弱な子羊の分娩がみられます。発症は初産例に多いことが知られています。
主な原因
 本症の原因は、感染した動物の細胞内に寄生し、増殖するクラミジアです。ヨーロッパ、北米、ニュージーランドなど世界各国で本症の発生が認められていますが、わが国での発生はありません。流死産胎子、胎盤および子宮分泌液などに多量のクラミジアが排泄され、汚染された飼料や水を介して経口感染後、流産が発生します。特に初産めん羊の妊娠末期に多発する傾向があります。感染めん羊からの伝播による人の流産例もみられます。
主な症状
 感染妊娠めん羊には、発熱以外に特筆すべき症状はみられません。妊娠30〜120日で感染し、通常50〜90日の潜伏期を経て胎盤炎を起こし、流死産がみられたり、虚弱子羊が生まれます。分娩後、細菌の二次感染により子宮炎を起こすことがあります。感染しためん羊は終生再感染することはありません。 常在地での損耗率は5〜20%といわれています。
主な予防法
 初産めん羊に多発し、再感染がみられないことから、欧米ではホルマリン不活化ワクチンを初産前に接種することで予防を行っています。