本病は、マダニに媒介されるウイルスによるめん羊および山羊の急性熱性疾患で、出血性腸炎を主徴とし、届出伝染病・海外伝染病に指定されています。人獣共通感染症でもあり、人に感染した場合、軽いインフルエンザ様症状を示しますが、野外感染は極めてまれです。 |
本病は、原因であるナイロビ羊病ウイルスがマダニによって媒介されて起こる伝染病です。ダニの成熟には、気温19〜30℃で、湿度45%以上の環境が必要なため、流行地域はこのダニの生息域により変化します。本ウイルスはダニの間では介卵感染により維持され、長期間持続感染を起こします。 |
感染2〜3日後から発熱し、2〜8日間持続します。最高体温は41℃を超えます。元気消失、食欲不振、呼吸促迫などを示し、粘膜は青黒くなり、時に鼻汁漏出もみられます。次いで、腹部の疼痛を伴う粘血便の激しい下痢を呈します。妊娠めん羊に感染した場合、流産が起こります。発熱に伴い白血球減少症がみられます。
感受性は東アフリカ原産のめん羊が最も高く、メリノ種や山羊は若干劣ります。非流行地域から抗体陰性のめん羊が導入され、初感染を受けた場合、死亡率は40〜90%になります。 |
不活化ワクチンの試作と野外応用が報告され、良好な結果が得られていますが、野外使用の要望が少ないため製品化されていません。
一般的には、非流行地域から動物を導入しないことと、ダニを非流行地域へ持ち込まないことが重要です。しかし、ダニの駆除や移動の制限は非常に困難で、有効な対策はありません。 |
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