本症は、成牛と成しかに発生し、急死または高致死率を示します。体表リンパ節の腫大、眼病、粘膜のうっ血・出血などがみられる体表・外貌の異常、下痢、血便、びらん、潰瘍などがみられる消化器系の異常、発熱、やせなどを示して発症後短時間で死亡し、届出伝染病に指定されています。 |
悪性カタル熱には、アフリカでウシカモシカから伝播するウシカモシカ型と、めん羊から伝播するめん羊型の二つの型があります。ウシカモシカ型の原因はウシカモシカヘルペスウイルス1で、めん羊型の原因はヒツジヘルペスウイルス2です。ウシカモシカ型では、3ヵ月までの幼畜が感染源で、鼻や目からウイルスを排泄します。一方、6ヵ月以上のめん羊はほとんど無症状でヒツジヘルペスウイルス2に持続感染しています。この感染源のめん羊に感受性動物である牛やしかが接触することにより感染・発症します。しかし、発症動物は感染源にはなりません。しかは種によって感受性が異なりますが、家畜として重要なアカシカやニホンシカは高い感受性を示します。本症は世界中に蔓延しています。動物園での発生も多くみられ、飼養しかの生産性阻害要因となっています。わが国ではめん羊型の症例のみで、多くのめん羊が飼養されている北海道と東北地方に限局して発生しています。 |
急性の高熱を伴うリンパ球増加症が起こり、発症すれば致死的です。しかでは発熱後、48時間以内に突然死するケースも多くみられます。
3週間〜6ヵ月の潜伏期間後、発熱し、目や鼻に粘液性膿様分泌物がみられ、下痢を起こすこともあります。 |
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牛、しかおよびめん羊との接触をさけます。特に分娩前後のウシカモシカとの接触をさけます。ヒツジヘルペスウイルス2を体内に持たないめん羊の生産も試みられています。
治療および予防法はありません。 |
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