本症は、ヌカカなどの吸血昆虫によって媒介されるめん羊、山羊および牛の急性ウイルス感染症で、届出伝染病に指定されています。主な症状は、発熱、呼吸困難、鼻汁漏出などの呼吸器症状や粘膜部の潰瘍形成です。また、関節炎による跛行、咽喉頭麻痺による嚥下障害、流死産、先天異常などを示す場合もあります。 |
本症の原因であるブルータングウイルスは、24の血清型が知られており、わが国では血清型21のウイルスが分離されています。
わが国では、九州および沖縄でウイルスが分離されていましたが、発症例の報告はありません。しかし、1994年に北関東で牛およびめん羊に、発熱、食欲不振、流涎、嚥下障害などを主徴とする本症が発生しました。ウイルスは、多種類のヌカカによって媒介されることが実験的に証明されています。接触感染は、実験的には報告されていますが、野外ではほとんどありません。 |
めん羊は発熱、元気消失、食欲減退、鼻汁漏出、呼吸困難などの症状を示します。口腔・鼻腔粘膜、舌および歯齦は発赤・腫脹し、潰瘍を形成します。舌や歯齦は炎症のため、青紫色を呈し水腫状となり、舌がしばしば口の外に露出したままとなるところから、「青い舌」すなわちブルータングと言う名前が付けられました。発症後期には、蹄冠および蹄球部の腫脹・潰瘍がみられ、骨格筋の変性による歩行異常を示す場合もあります。妊娠めん羊に感染すると、流死産や新生子羊の大脳欠損など先天異常を示すことがあります。めん羊でも、感染したウイルスの病原性によって症状が異なりますが、山羊や牛では一般的に症状が軽く、感染してもほとんど症状を現わしません。 |
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海外では、弱毒多価生ワクチンが用いられていますが、日本では市販されていません。ヌカカの発生予防や、畜舎への侵入防止以外に、確実な予防法はありません。発症した動物に対する治療法もありません。 |
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