本病は、ヨーネ菌の経口感染により反芻動物に慢性肉芽性腸炎を起こす疾病です。哺乳期に感染し、1〜数年の不顕性感染期を経て、多くは分娩後に発病し、重度のやせ、脱毛および軟便を呈します。発病後数ヵ月〜1年以内に大部分が衰弱死します。本病は法定伝染病に指定されています。 |
本病の原因であるヨーネ菌は、結核菌と同様に抗酸菌の一種です。「家畜伝染病予防法」での対象家畜は牛、めん羊、山羊、水牛およびしかですが、海外ではアルパカ、野兎、イタチ、猿の症例もあります。わが国では輸入めん羊が汚染源となり1951年に十勝種畜牧場のめん羊および山羊の群で、次いで静岡種畜牧場のめん羊群でもヨーネ病の集団発生が摘発されました。また、同群を導入した沖縄では、1991年に長崎県産の同居バイカジカでも本病が発生しました。1995年に北海道は240頭規模のめん羊群で24頭が発症しました。最近では大阪、高知および長野県内の動物園で国産ザーネン種の山羊やピグミーゴートでの発生がありました。 |
1歳未満での発病はまれであり2〜3歳に好発します。めん羊、山羊およびしかでは、多くの場合、病末期にも牛とは異なり犬の便のような軟便が続きます。めん羊の1集団感染群では、大排菌群でも65%が正常便、16%が軟便、残りの19%が下痢便でした。発病しても食欲は正常ですが、被毛失沢、胴部の脱毛、急激な体重減少などがみられます。また、貧血がはげしくなり、口腔粘膜の赤みが淡くなります。また、高蛋白尿から栄養状態の悪化を招き、多くの場合、顎下に水腫がみられます。 |
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導入先の動物群のヨーネ病清浄度を確認すること、さらに感受性の高い幼弱動物の衛生管理、特に糞便との接触を避けることが最も効果的な感染予防策となります。化学療法による治療は困難であり、経済動物には利用されません。 |
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