本病は、狂犬病ウイルスの感染によって起こる最も危険な人獣共通感染症の一つであり、めん羊、山羊、しかなどの草食獣にも感染します。ウイルスが神経組織内で増殖して中枢神経を冒し、発症すれば重篤な神経症状を伴ってほぼ100%死亡する高致死率の疾病で、法定伝染病・海外伝染病に指定されています。 |
本病の原因は狂犬病ウイルスで、主な感染・伝播は、感染動物の唾液に含まれるウイルスが咬みきずから体内に侵入することによります。ほとんどの哺乳動物が本病に感染しますが、感受性に差があり、きつね、狼、あらいぐまなどの野生動物は感受性が高く、人、犬、馬、牛、めん羊および山羊は中等度の感受性です。わが国では1957年以降発生がなく、清浄状態を長期間にわたり維持しています。 |
潜伏期はウイルス侵入部位により、7日〜3ヵ月と不定です。めん羊や山羊の症状は牛の症例によく似ています。長く鳴いたり、口周囲をしきりになめるようになり、多量の流涎がみられ、嚥下困難、協調運動障害、後肢の脱力や麻痺がみられます。特にめん羊では性欲の亢進が一般的となり、山羊は絶えず鳴き、刺激に対して敏感で攻撃的になるなどの症状がみられます。一方、無症状で急死するものもあります。 |
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本病の防除対策としてワクチンの有用性は高く、感染予防と発病阻止の目的で使用されます。ワクチンには不活化ワクチンと弱毒生ワクチンがありますが、世界的には野生動物用の経口ワクチンが開発され、弱毒やワクチニアウイルスを媒介体とした遺伝子組換えワクチンが欧米で効果をあげています。
動物は治療しないで殺処分します。 |
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