要 約
無発情豚152頭の卵巣を,経直腸超音波検査で観察したところ,66頭(43.4%)に異常所見がみられ,残りは異常が認められなかった.蹄病等の併発を除く136頭に,飼養管理の改善(飼料内容の修正と給与量の増加,種雄豚との接触)を行い,さらに異常所見のうち,卵巣静止48頭にeCG1000IU,多胞性卵巣嚢腫2頭にGnRH-A 200μgを投与し,正常様所見の73頭および寡胞性卵巣嚢腫13頭は無投与とした.その結果,ホルモン投与群および無投与群の発情回帰率は96.0%,98.8 %,受胎率は91.7%,78.8%となり,受胎率に差がみられた(P<0.05).今回,飼養管理の改善を行い,超音波検査に基づく卵巣の異常の有無でホルモン投与を行ったところ,発情回帰率は処置に関わらず高かったが,受胎率は無投与群で低く,卵巣以外の要因が示唆された. ―キーワード:無発情,eCG,飼養法,GnRH-A,経直腸超音波検査.
------------------------------日獣会誌 62,126〜131(2009) |
† 連絡責任者: |
上村俊一(宮崎大学農学部獣医学科獣医臨床繁殖学講座) 〒889-2192 宮崎市学園木花台西1-1 TEL・FAX 0985-58-7787 E-mail : kamimuras@cc.miyazaki-u.ac.jp |
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