会報タイトル画像


会議報告

 【座長就任】
 山根会長から竹下正興・長崎県獣医師会会長を座長に指名して,以下のとおり議事が進められた.
 【議 事】
 1 新公益法人制度移行に向けての対応の件
 (1)新制度移行に向けての取り組み
 (組織,会計・経理及び事務・事業運営の点検・整備)
ア 大森専務理事から,大要次のとおり説明が行われた.なお,本件についての疑問点は本会の総務・広報委員会委員を通して連絡する等していただき,委員会での議論を経て,地方獣医師会へフィードバックしたい.また引き続き本会で入手した情報は資料として取りまとめ,送付するとともに,希望があれば地方へ伺い,地元の検討会等での協議に参加し,意見交換させていただきたい旨説明された.
《本誌85頁(平成20年度第3回理事会の議事概要)及び次の補足説明参照》
 (ア)新公益法人制度移行に当たっての留意事項(基本事項)
  • 基本的な考え方
     移行期間である5年間の間に[1]一般法人,[2]公益法人,[3]他の特例民法法人と合併,[4]解散のいずれかを選択するが,[1]及び[2]のどちらを選択しても,メリット,デメリットはある.しかし,我々が長い歴史の中でこれまで獣医師会という専門職団体として公益活動をし,今後も事業展開をするのであれば,まずは公益認定に向けての環境整備に取組む必要がある.

 (イ)狂犬病予防注射事業運営に当たっての留意事項
  • 基本的な考え方
     狂犬病予防注射事業は,予防対策の円滑な推進を図るための法に基づく事業である.これを獣医師が組織する公益法人である地方獣医師会が自治体との連携の下で公益活動として実施している.
     ついては,新公益法人の移行を踏まえ,改めて認定法第2条4号の公益目的事業と位置づけ,その要件の整備状況を点検し,公益認定基準の適合に向け,必要に応じ事業内容及び事業実施環境の整備をする.
     地方獣医師会の事業として実施する事業範囲の整理は,地方獣医師会自体の公益認定基準適合の兼合い(経理的基礎及び技術的能力,収支相償の原則,公益目的事業費率)で判断する.
     これは,地方獣医師会個々の事情によるが,基本は地方獣医師会の実施する狂犬病予防注射事業は公益目的事業であるという観点に立った整備が必要である.
     でなければ獣医師会の存在意義が薄くなるとともに,法に基づく予防事業の存在意義が失われかねない.移行段階で獣医師会が一般法人,公益認定法人の形態にかかわらず,獣医師会の事業として行う限り,事業としての位置づけを明確にしておかないと事業が根底から覆される.
  • 税務上の収益事業と公益認定法上の収益事業
     狂注事業は,自治体からの委託費(助成金)及び事業受益者(犬飼育者等)から手数料等の対価を得,当該資金を事業の実施に要する経費の全部または一部に充てるとの性質を有する以上,税務上は,法人税法施行例第5条に既定する請負業又は医療保健業(特掲34事業の一部)とみなされる.
     従って,新公益法人関連3法の施行後においては,税務上の扱いは,基本的には「特例民法法人の行う収益事業」として引き続き法人税課税の対象となる(但し,課税の水準は,特例民法法人の行う収益事業として減免の扱いを受ける).
     なお,手数料その他,委託に係る対価が当該事業の業務に必要な費用の額等の範囲内であること.いわゆる実費弁償にする旨が税務当局の確認を受けた場合は,税法上の収益事業として取扱わないとされている.
     一方,新公益法人制度への移行に伴い,狂注事業を公益認定法第2条第4号の規定に基づく「公益目的事業(公益事業)」としての要件を備えるものとして特例民法法人の公益認定申請の際に当該法人の公益認定とともに,そのことが行政府に認められれば,「税務上の収益事業」であったとしても,「公益認定法上の収益事業」からは除外され,法人税は非課税の扱いを受けることになる(公益認定取得のメリットとなる).

イ 質疑応答として,[1]若干の課題はあっても,認定申請を早期に行い指導を受けるべきか,それとも,時間をかけ課題を解決してから申請すべきか.[2]当会では,定款で部会制を設けているが,定款から削除すべきか.また,支部へは本部から事業費を助成するとともに支部自身でも会費を徴収しているが,問題となるのか.[3]このような説明だけでは解りづらく,日本獣医師会が公益社団法人をいち早く取得し,モデルケースを示すことにより,地方獣医師会は取組みやすくなる.[4]当会では,支部は独自に事業活動をし,会計面でも関係をもたず,経理は支部ごとに様々な形態で統一性がないため,獣医師懇談会という組織を設け,その中での会計処理を模索している.特に災害時の動物救護事業,狂犬病予防注射事業等は市町村と独自に契約しており,このような事業運営にも経理的問題が生じると思われる.[5]地方では,認定委員会が脆弱なためか,提出した申請書類を事前に担当部局である農林部で検討するような手順を踏んでいるところもある.ついては,地方獣医師会は,動物愛護事業,狂犬病予防注射事業等を所轄する担当官とも打合せた後,所管の農林部と最終調整して認定委員会へ提出すると良い.このように中央の委員会へ申請する日本獣医師会と,地方の状況は温度差があることを危惧するとともに,政令市,県獣医師会,日本獣師会においては,それぞれ個別の対応を依頼する.[6]日本獣医師会,地方獣医師会の一方が認可されなかった場合,日本獣医師会に納める会費の位置づけ,会計処理の方法はどのようになるのか等の質疑等があり,これに対して大森専務理事から,[1]については,内閣府の説明会でも,都道府県と同様に法律内の説明に留まっている.申請は何度でも可能で,委員会ではその都度アドバイスするという方向であったが,最近,内閣府では,申請が多数なため,慎重な対応を望むという姿勢に転じているようだ.申請しても速やかに返答が得られる状況でなくなっているのではないか.現状では,早期に提出すべきか否かは判断はしかねるが,財団法人公益法人協会では12月に認定申請し,その際の申請の資料,今後の認定委員会からの回答,指示等をホームページで公表するので,委員会の対応の経過等は参考にしていただきたい.[2]については,部会,協議会等の支部組織はあってしかるべきだが,本部と別に独自に会計処理,事業運営をしていると,本部事業でないと見なされる.なお,組織の支部に一定の事業助成金を拠出することは,否定はされないと思うが,本部への報告なしに,別に得た会費を含め,独自に経理処理をするとした場合,本部と支部の一体性が損なわれるとの問題が生じる.本部と支部の支配権,会計の決裁権を明確にすることがポイントとなると思われ,今後,情報収集に努めたい.[3]については,これまでの会議における協議は,本会と地方獣医師会が理念を共有し,方向性を一つにすべく環境整備を進めるためのものである.本会も万難を排して対応に努めるが,地方獣医師会でも本趣旨を踏まえ,ともに連携しながら新制度を乗り越えるという方向で対応願いたい.要は個々の法人においてそれぞれ積み上げ方式の検討が必要であり,どこかの法人が公益認定の申請をしたので,それを単純にマネれば良いという性質のものではないことを先ずは理解してもらいたい.[4]については,本部と支部の関係,事業運用等については,これから様々な団体からの申請をもとに判断がなされると思われ,現段階では一つの案に集約せず,複数のアイディアを提案していただき,検討の上,最終案として固めるということになるのではないか.[5]については,申請後の対応は,中央では所管官庁は一切関与せず,内閣府の公益認定委員会が対応するとしているが,自治体での対応は統一されていないようである.また最終的に法人形態の選択は,法人独自の判断に委ねられているが,日本獣医師会と地方獣医師会は共通事項があり,互いに理解を深めるために協議を重ねてきた.我々がともに認可を取得する気持ちで取り組むことが会員の負託に応えることであり,日本獣医師会と地方獣医師会が連携,協調に努め,今後とも,親密に情報,意見交換をしながら,新制度への移行を目指したい.[6]については,今後の組織のあり方は,会費の問題を含め,新しい制度の中で組織,事業運営,運営財源をどうするか三位一体で,今後,議論すべき課題である旨がそれぞれ回答された.
 (2)日本動物保護管理協会からの要請に対する対応
ア 大森専務理事から,日本動物保護管理協会からの提案に対し,午前中の理事会で承認を得た本会の対応について報告したいとして,大要次のとおり説明された.
イ 質疑応答として,日本動物保護管理協会の正会員は,地方獣医師会でない団体が含まれているが,合併した際はこのような団体も日本獣医師会の傘下に加えるのかとの質疑があり,これに対して,大森専務理事から,今回の合併は整備法に基づき吸収合併という形態を取らざるを得ない.したがって,会員の資格は,可能な限り現行の日本獣医師会の組織体制に準ずる必要がある.本会は,定款で正会員を都道府県,政令市獣医師会と定めているため,協会の地方獣医師会以外の10団体に対しては,まずは合併を要請された協会から,合併の趣旨を十分説明し,日本獣医師会との関係をどのような形で繋いでいくのか等について意見を聴取しながら,今後の対応を進めていきたい旨説明された.
《本誌86頁(平成20年度第3回理事会の議事概要)参照》

 2 動物診療における動物看護職の位置づけ等に関する件
 (1)大森専務理事から,動物診療における動物看護職の位置づけ等について,大要次のとおり説明がなされた.
 《本誌87頁(平成20年度第3回理事会の議事概要)参照》
 (2)質疑応答として,動物看護職の位置づけにある,診療施設の窓口業務,動物のトリミング等の理美容業についてもパラメディカルの専門職としての位置づけを考えているのかとの質疑があり,これに対して,大森専務理事から,現時点で捉えれば,看護職は法に抵触しない範囲で業務を行っており,動物の理美容を含め,あえて新たな法整備をしてまで対応する必然性は乏しいと言わざるを得ない.これを法律に基づく資格制度とするためには,社会的必要性を有するものに位置付ける必要がある.このためパラメディカルという概念を取り入れ,このような部分を新たな資格制の下で専門職に対応させて,獣医師との連携の下でより良い診療を築きあげるという理論構成とする.今後,どのようなカテゴリー分けをするかについては,我々だけで即断できるものではなく,現段階では獣医師とパラメディカル専門職(動物看護職の専門職)と現状の一般の動物看護職が獣医療を構成する必要があるという範囲で対応を進めたい.このためにも,まずは現状の動物看護職について,その養成と民間認定について統一的対応の下で高位平準化を努力していく必要がある旨説明された.

 3 平成20年度地区獣医師大会の開催状況及び地区大会採択の決議要望事項の件
 大森専務理事から,平成20年度地区獣医師大会の開催状況及び地区大会採択の決議要望事項について,大要次のとおり説明がなされた.
《本誌90頁(平成20年度第3回理事会の議事概要)参照》

 4 日本獣医師会学会年次大会(岩手)への参加登録
  推進及び平成21・22年度年次大会開催計画の件

 大森専務理事から,日本獣医師会学会年次大会(岩手)への参加登録推進及び平成21・22年度年次大会開催計画について,大要次のとおり説明がなされた後,金田岩手県獣医師会会長から,学会年次大会(岩手)開催に向けた,取組み状況の報告及び地元における参加登録の広報が依頼された.
《本誌90頁(平成20年度第3回理事会の議事概要)参照》

 5 日本獣医師会創立60周年記念事業の件
 大森専務理事から,日本獣医師会創立60周年記念事業について,大要次のとおり説明がなされた.
《本誌88頁(平成20年度第3回理事会の議事概要)参照》

 6 平成20年度業務概況等の件(職域別部会の運営状況を含む)
 大森専務理事から,前回理事会以降(平成20年4月1日以降平成20年11月20日まで)の業務概況について報告が行われた.



戻る