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会議報告


 【報告事項】
 1 業務概況等の件(職域別部会の運営状況を含む.)
 大森専務理事から,前回理事会以降(平成20年6月21日以降平成20年11月20日まで)の業務概況について報告が行われた.

 2 要請活動の件
 (1)大森専務理事から,8月29日付けで厚生労働省健康局長及び農林水産省消費・安全局長,環境省自然環境局長あて,「防疫業務従事獣医師等の新型インフルエンザ・鳥インフルエンザ感染予防対策」について要請活動を行った.本件は前回の理事会で麻生理事から提案がなされ,後日,九州地区連合獣医師会からの本会あて要請に基づく対応であり,防疫の最前線で鳥インフルエンザの感染リスクの高い業務に従事をする獣医師に対する感染防御対策の徹底推進,特に国が定めた新型インフルエンザ防御対策においては,医療関係者等を対象とするプレパンデミックワクチン及びパンデミックワクチンの実施が明示されたが,防疫業務に従事する獣医師を対象に含めるよう依頼したものである.さらに,10月27日付で環境省自然環境局長及び農林水産省消費・安全局長あて「環境省における「野鳥の高病原性鳥インフルエンザ技術対応マニュアル」の策定」について要請活動を行った.本件は,北海道,青森県における白鳥の鳥インフルエンザ感染死亡事例についての現場対応を踏まえ,環境省で鳥インフルエンザ技術対応マニュアルを策定し,各都道府県関係者に通知されたことを受け,[1]地域推進協議会を設置する等して,都道府県鳥獣担当部局と管下の地方獣医師会との連携推進,[2]死亡鳥獣等の調査等のサーベイランスのため,民間獣医師の調査委託または動物診療施設での参加協力は,事前に技術対応等を確認の上,委託契約等の締結等による対処について依頼した旨説明された.
 (2)質疑応答において,[1]鳥インフルエンザが疑われる野鳥が家畜保健衛生所に安易に持ち込まれることを非常に危惧する.[2]ウイルスが検出されると家畜保健衛生所職員は農家へ指導に行くこととなるが,ウイルスと接触した職員は,農家への立入りができないため,特に鶏の飼養羽数が多大な地域では,獣医師職員の不足に陥る.[3]したがって,安易な家畜保健衛生所への野鳥の持ち込みは検討の余地がある.[4]一般の住民が鳥を素手で捕まえ,家畜保健衛生所や民間の診療施設に持ち込むことを自制するよう指導するとともに,その際は,関係機関が連絡を密にとり,対処方法を逐次検討する必要がある旨意見が出された.

 3 獣医学教育改善を巡る事情の件
 (1)大森専務理事から,[1]本会が獣医学教育の質の確保,入学定員維持の必要性,法人運営対策の懸念等から反対してきた,今治市及び愛媛県からの「特区」としての獣医学部の設置許可要望については,本年6月に提出された2度目の提案が認められなかったが,さらに3度目の提案が提出された.
 [2]8月6日,文部科学省,農林水産省,全国獣医学関係代表者協議会,日本学術会議,日本獣医学会及び本会が参集し,「獣医学教育改善に関する関係者懇談会」を開催した.特に国立大学の再編統合については,関係者の意識統一により機を逃すことなく対応を進めるべきとされ,結論として,外部評価の取組みと大学設置基準の見直し,さらに今後の作業工程への関係省・機関による支援の必要性等について議論を深め,方向性を定めることとされた.[3]11月に文部科学省では高等教育局長の私的諮問機関として「獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」が設置され,12月17日に第1回の会議を予定している.来年3月までに一定の方向について結論を得たいとし,文部科学省が主導で獣医学教育改善について,関係者の意見を聞いて取りまとめることとされた.本会議には,委員として山根会長,さらに日本大学総長の立場で酒井理事が参画をされることから,本問題への取り組みのさらなる進展が期待される旨説明された.
 (2)質疑応答として,獣医学教育については,大学再編の必要性を実感しているが,「特区」申請に対して反対の立場をとるだけでなく,既存の国立獣医学系大学の学生が最低限の教育が得られるような取組みを進めるべきと思われる旨意見があり,これに対して,山根会長から,これには国民の理解,政治の力,行政の支援が必要であり,これまで多面的な活動を行った結果,このたび文部科学省では国公私立大学が連携して新学部を立ち上げることを可能とし,30億の調査費を計上した.これは獣医学科の再編整備を見込んだ対応と理解しており,水面下では新学部の立ち上げも進んでいる.なお,8月に開催した「獣医学教育改善に関する関係者懇談会」において,文部科学省の担当課長にも新学部の設置基準,外部評価のあり方等の重要性の理解を得たことが,「獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」の設置に繋がったと考える.文部科学省がようやく重い腰を上げ取組みを始めた,この機会を逃さず,最良の結論に結び付けるよう全力を尽くしたい.一方,先日,OIEの小澤顧問から,現在,OIEでは獣医学教育の標準的な基準を検討し,来年,10月のパリの会議で公表する計画でおり,その際,世界の獣医科大学600校に案内状を出すとのことで,この基準について日本の見解を問われたが,日本獣医師会会長の意見として,できる限り高い基準を依頼するとともに,我々もその目標に最大限努力したいと明言した.欧米のアグリテーションシステムでは,アジア地域が蚊帳の外におかれている事情に鑑みても,今回の世界的基準は獣医学教育充実の追い風になると考えている.補足して酒井理事から,獣医師養成機関である大学として,出口管理については,地域偏在と職域偏在の問題,そして待遇改善の必要性はあるが需給の結論は出ている.また獣医師は国家ライセンスとしての職業保証があり,国として職業保証ができない人材を増やすべきではないと考える.一方,入り口の管理として,獣医学教育は国際基準で充実する必要があるが,新規の大学では認可を得てから結果が出るまで10年を要することからも,既存の大学で取組むことにより早期対応が期待できる.また,これまでのような学生不在の議論でなく,学生の求める教育の提供を考慮すれば,人材バンク等により臨床系の教員を常に確保する必要がある旨説明された.

 4 部会委員会の運営状況の件
 大森専務理事から,5月から11月の間に開催された,部会委員会(小動物臨床部会,学術部会,職域総合部会)の開催状況が紹介され,現在,各委員会では検討テーマの報告書の取りまとめに取り組まれており,詳細はホームページで参照いただきたい.なお,総務・広報委員会については,公益法人改革について濃密に議論しており,逐次,内容を地方獣医師会へ通知しているので,各々これを参考に取り組み願いたい旨が説明された.

 5 平成20年度地区獣医師大会の開催状況及び地区大会採択の決議要望事項の件
 大森専務理事から,各地区における地区学会,地区獣医師大会状況が示され,開催に多大な尽力をいただいた旨お礼が述べられた.なお,決議要望事項については,2月開催の地区連合獣医師会会長会議において,各地区の意見を十分聴取した上で,今後の対応,推進の方向を定め,理事会で報告したい旨説明された.

 6 日本獣医師会学会年次大会(岩手)への参加登録
  推進及び平成21・22年度年次大会開催計画の件

 大森専務理事から,平成20年度の岩手県,21年度の宮崎県に続き,平成22年度についても岐阜県獣医師会及び中部獣医師会連合会協力の開催形式による岐阜県での地方開催が決定された.なお,20年度の学会年次大会(岩手)については,現在,第2次アナウンスメントを実施しており,各獣医師会またはブロック単位での参加登録について広報に努めているが,理事各位におかれても支援のほどお願いしたい旨説明された後,岩手県獣医師会長である金田監事から,山根会長を始め,学会企画運営委員会委員の方々の指導,協力に心から厚くお礼申し上げる.特別企画として特別講演,教育講演,シンポジウム等,様々なプログラムを企画する一方,一般講演,研究報告の演題は,産業動物が46題,小動物が26題,獣医公衆衛生が16題,計88題の応募があり,展示出展は,予定の60社が現在59社,広告掲載は予定の40社が52社という状況である.なお,参加申し込み状況は,平成20年11月29日現在,427名だが,最終的に1,400名を見込んでいる.今回,参加登録料を1万円とし,会期が従来より早いため,事前登録の申込み期限を12月15日としたが,岩手県獣医師会では,事務局を始め,役員,会員が一致団結し,参加される方を温かくお迎えできる態勢を整えるべく取り組んでおり,各位におかれても地元会員に対する事前登録等の周知をお願いしたい旨各々説明された.

 7 日本獣医師会獣医学術奨励賞(学術賞及び功労賞)選考結果の件
 酒井理事から,第7回獣医学術選考委員会における厳正な審査の結果,獣医学術奨励賞「学術賞」及び「功労賞」が決定された旨説明され,受賞者及び業績が紹介された.

 8 2008動物感謝デー in Japanを開催した件
 中川副会長から,2008動物感謝デーは,「in Tokyo」から「in Japan」と名称を変更し,オールジャパンで開催する方向性を示し,また催事を運営するイベント会社は,3社のコンペティションにより選定した.我々職域の広い獣医師の仕事を広く国民に理解していただくことが主な趣旨であり,開催主体は本会であるが,本年度は特に54の地方獣医師会に協賛いただき,さらに埼玉県,千葉県,東京都,岐阜県,大分県,宮崎県,九州地区連合獣医師会がブース展示に参加され,昨年とは違った華やか,かつ目的意識を有した開催となった.開催当日の駒沢オリンピック記念公園中央広場は晴天に恵まれ,参加人数は主催者発表で1万7,000人と昨年を上回り,成功裏に開催することができた旨報告された.

 9 土地賃貸借契約の契約更新の件
 大森専務理事から,本会と東京都獣医師会は,土地賃貸借契約を30年という長期で締結しているが,10月末日で契約が終了するため,東京都獣医師会から契約更新の要請があり,新青山ビルにおける本会所有の283平米のうち,67.73平米について,引き続き契約の継続の更新を行った旨説明された.

 10 そ の 他
 [1]四国4県の獣医師会では,各々山根会長との連名により,知事と県議会議長に対し,公務員獣医師の処遇改善の要請を実施することとした.このような取組みが全国的に広がり,全国知事会に議案として提出されることを期待したい.[2]犬のブルセラ症が流行していると聞くが,自治体に情報を求めても回答が得られない.一部のペットショップやブリーダー,犬のレンタル業者が被害を被っており,これらの業界が危機感を感じて勉強会を開催しているが,この会に獣医師が参加するという状況である.さらにマスコミが不安を煽っており,本会から獣医師,ペットショップ,飼育者に対する情報提供,指導をすべきである.[3]獣医事に従事していない獣医師への取組みとして,職場に復帰する獣医師のため,研修センターを獣医学系大学へ設置する検討をする際は,各地域の獣医師会会長と大学の教官が協議する場を設けることにより円滑に取り組みが進むと思われる旨各々意見等が出された.
 これに対して,[1]については,山根会長から,今,各都道府県で同様の要請が進んでおり,鹿児島県や香川県では具体的な措置がなされ,成果が出ている旨説明された後,補足して藏内副会長から,昨年12月に山根会長が全国知事会長である麻生福岡県知事に陳情をされたが,その後,知事が全国的な調査をしており,その中間報告では,現状,多くの知事からは全国的に公務員数の削減,公務員の処遇の見直しが進められている状況の中,獣医師だけを特別待遇することの理解は得づらいという見解であった.なお,福岡県では,先の要請を受け,今年4月に新たに「食の安全総合調整監」という次長級の獣医師職のポストが設けられた.県庁では畜産課,生活衛生課を始めとして,獣医師の関係業務が多岐にわたるため,偽装表示等の問題が起こった際,的確に情報を交換し,対応することが困難な組織体制であったが,食の安全総合調整監の設置により一元的な対応が可能となった.皮肉にも,事故米の問題が福岡県で発生した際,食の安全総合調整監による,新たな体制が非常によく機能した.さらに獣医師の県職員の身分等については,これまで福岡県での初任給調整手当は,上限が1万3,000円で支給期間が5年間であったが,今月の議会に上限を2万5,000円,支給期間を10年に延長をする提案がされ,18日に可決される見通しである.[2]については,山根会長から,盲導犬協会では飼育犬にかなりの陽性反応が出ているという.また,犬を取扱う専門学校でも陽性反応のあった犬を淘汰し,新たにブリーダーから犬を購入したが,すべての犬が感染していたと仄聞する.本会からも農林水産省,厚生労働省へ問い合わせたが,本病は人への感染能力は低く,4類感染症に該当するため報告義務もないとの回答を受けた.しかし,マスコミによる風評被害も懸念され,先日もペット小売業協会の米山会長から相談を受けたが,私からペットショップがブリーダーに対し,抗体陰性の証明書の添付を依頼し,これを付加価値として取引する等の指導を行えば清浄化に繋がると進言したところ,ブリーダーの多い地域から勉強会を開催し,指導したいとされた.このように風評被害も考慮しながら,本会としても粛々と清浄化に向けた対応を進めていることを理解いただきたい.[3]については,意思の疎通は重要であり,本会の会議等についても地元への伝達方法を検討いただきたい.農林水産省の獣医事審議会の計画部会では,第3次基本計画を検討しているが,元気な定年退職者を社会に還元するとともに,結婚退職した女性獣医師の社会復帰等に活用できるよう,本会の主導の人材バンクの設置等を提案したい旨各々説明された.



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