要 約
日本各地の野鳥および飼育下鳥類から感染が報告されている鳥マラリア原虫は,Culex属やAedes属の蚊によって媒介されるが,国内においてベクターとなる蚊の種類や原虫保有状況は十分に調べられていない.そこで,2006年4月から1年間,日本大学農場施設(神奈川県藤沢市)において蚊を捕獲して原虫遺伝子の検出を試み,鳥マラリア原虫保有状況を調査した.5属6種811個体の蚊が捕獲され,アカイエカ群とヒトスジシマカが大半を占めていた.DNA抽出した276サンプル中6サンプルから鳥マラリア原虫遺伝子に近縁な配列が増幅された(最小感染率:0.7%).増幅がみられた蚊はすべてアカイエカ群であった.以上から,調査地に分布する蚊が鳥マラリア感染におけるベクターである可能性が示唆された. ―キーワード:鳥マラリア,蚊,PCR,Plasmodium spp.,節足動物媒介性感染症.
------------------------------日獣会誌 62,73〜79(2009) |
† 連絡責任者: |
佐藤雪太(日本大学生物資源科学部獣医学科実験動物学研究室) 〒252-8510 藤沢市亀井野1866 TEL 0466-84-3378 FAX 0466-84-3445 E-mail : sato.yukita@nihon-u.ac.jp |
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