要 約
8歳,体重11kgの雌のブルテリアが,拡張期雑音を認めるとのことで来院した.心臓超音波検査において,僧帽弁狭窄症と診断した.胸部X線検査にて肺水腫が示唆されたため,トラセミドおよびエナラプリルを投与した.その後,トラセミドは休薬し,エナラプリルの投与を継続した.第492病日に,飼い主の希望により開心術による僧帽弁狭窄部の拡張術を行った.閉心後の超音波検査において,左室流入速は術前より減少したが,閉胸終了後,神経学的反応に乏しく予後不良と判断したため安楽死した.病理組織学的検査にて,僧帽弁に軟骨化生ならびに粘液腫様変性を認めた.内科的治療で維持が困難である僧帽弁狭窄症では,早期に外科的治療に臨む必要があり,弁異常の重症度を十分評価し,弁置換術を含め僧帽弁に対するアプローチ法も検討する必要があると考えられた. ―キーワード:開心術,心臓超音波検査,粘液腫様変性.
------------------------------日獣会誌 62,64〜68(2009) |
† 連絡責任者: |
上地正実(日本大学生物資源科学部獣医学科内科学研究室) 〒252-8510 藤沢市亀井野1866 TEL 0466-84-3481 FAX 0466-84-3482 E-mail : uechi.masami@nihon-u.ac.jp |
|