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原 著

犬の皮膚肥満細胞腫に対するプレドニゾロン単独の効果

信田卓男   圓尾拓也   岩崎孝子   川村裕子   武田晴央
斑目広郎   茅沼秀樹   菅沼常徳

麻布大学附属動物病院(〒229-8501 相模原市淵野辺1-17-71)

2007年11月14日受付・2008年6月3日受理

要   約

 犬の皮膚肥満細胞腫58例に対して,プレドニゾロンを1日1回投与して1〜4週間後に腫瘍の縮小効果を判定した.プレドニゾロン投与量の中央値は21.5mg/m2であった.プレドニゾロンによる肥満細胞腫の縮小は35例で認められ,反応率は60.4%であった.また,完全寛解(CR),部分寛解(PR)が得られるまでの期間の中央値はそれぞれ14日,10.5日であった.反応群35例(CR 7例,PR 28例)と非反応群23例(無変化(SD)18例,増大(PD)5例)では初回の腫瘍体積に有意差が認められ(P<0.001),反応群の体積中央値は2.69cm3,非反応群は18.85cm3であった.プレドニゾロンは犬の皮膚肥満細胞腫の治療に重要であることが再確認され,腫瘍体積の小さいものほど有効であることが明らかとなった.
―キーワード:犬,肥満細胞腫,プレドニゾロン.

------------------------------日獣会誌 日獣会誌 62,57〜60(2009)




† 連絡責任者: 信田卓男(麻布大学附属動物病院)
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